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[MOM1831]FC東京U-18DF荒川滉貴(2年)_ 「持っている男」の今季初ゴール。“アラコー”が切り拓いた西が丘への道

ゲキサカ 7月31日(日)17時27分配信

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.31 日本クラブユース選手権(U-18)準々決勝 FC東京U-18 3-1 横浜FCユース 宮城総合]

 スタメンに指名されたのは今日の朝。本人は「オレか!マジか!」というのが率直な気持ちだったという。ただ、そんな男がチームを勝利に導く先制ゴールを決めてしまうのだから、サッカーは面白い。“アラコー”が叩き出した自身の今シーズン公式戦初ゴールが、FC東京U-18を2年ぶりの全国セミファイナルへと導いた。

 関東予選のリターンマッチとなったFC東京対横浜FCユースの準々決勝。その2か月前の対戦では横浜FCがPK戦の末に勝利しているという経緯も踏まえ、「予選でやられているので、『今度こそは』という想いも立ち上がりから感じた」と佐藤一樹監督も言及したように、スタートから気持ちの入った青赤軍団が押し込む展開が続く。

 ただ、決定機までは創り切れない中で迎えた前半37分。右サイドで得たスローインの流れから、平川怜がファーサイドへ絶妙のパスを通すと、ここに飛び込んだのは「(鈴木)喜丈くんに『ちょっと前目を取れ』と言われていて、良い所にボールが入ってきたので、『行こう!』と思って突っ込みました」という荒川滉貴。ヘディングで枠へ飛ばしたボールはゴールネットを鮮やかに揺らす。

「大会を通して試合にも出ていなくて、自分のゴールも取れていなかったので、ゴールに絡みたいなと思っていた」という左SBの先制弾に、「素晴らしかったですね」と佐藤監督も称賛の言葉を。後半に追加点も記録したFC東京U-18は、その後1点差にまで詰め寄られたものの、最後は久保建英がダメ押しゴールを奪い、終わってみれば3-1と盤石の勝利。西が丘行きを祝う歓喜の輪の中心には「自分が急に出ることになってちょっと緊張したんですけど、出ると決まったからにはやるしかなかったので頑張りました」という荒川の姿があった。

 今シーズンはJ3、高円宮杯プレミアEAST、T1(東京都1部)と3つのカテゴリーに選手を送り込んでいるFC東京U-18だが、荒川はこの日のスタメンで唯一、2月のT1リーグ開幕戦でもスタメン起用されていた選手だ。そこから3試合続けてT1で好パフォーマンスを維持したこともあって、プレミアでも開幕からスタメンフル出場が続いた。「もちろんT1リーグを通じて彼も成長してくれましたし、カテゴリーの行き来がある中で、こっちに来た時もしっかりそこのグレードでやれるポテンシャルが元々あるのはわかっていたので、それをちゃんと表現してくれているという部分では大したものだなと思います」と信頼を口にするのは佐藤監督。荒川も「T1で成長できた所が、プレミアとかクラブユースで通用してくる部分があって、そういう意味ではT1は良い刺激を受ける場所になっています」とその経験を振り返る。

 今大会は初戦こそスタメンに名を連ねたが、以降の3試合は後半終盤での途中出場が続いており、「T1で一緒にやっていて、今回のメンバーに入った人たちは僕よりこの大会で試合に出ていて、『自分も負けていられないな』と思っていた」というその溜まったエネルギーを、この大事なゲームで見事に解き放ってみせたのは、日頃から積み重ねてきた努力の賜物であることは間違いない。

 重要な一戦でのゴールに、自ら「僕、持ってましたね」と笑いながら言い切るキャラクターが頼もしい。佐藤監督も「普段はみんなとワイワイやっているような楽しくて愉快な選手なんですけど、こうやってゲームに入ると自分をマジメに表現してくれるんですよ(笑) みんなにかわいがられている選手で、よく後輩にもイジられていますけど、僕も大好きな選手の1人です」と笑顔で彼について話してくれた。次戦はいよいよ東京に戻ってのセミファイナル。「もしまた試合に出られたら、もう1回点を決めたり、クロスでアシストしたりできたらいいなと思います」と言葉に力を込めた荒川。東京サッカーの聖地とも言うべき西が丘で、“アラコー”が再び『持っている男』になれるかどうかが今から非常に楽しみだ。

(取材・文 土屋雅史)

最終更新:7月31日(日)17時27分

ゲキサカ

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