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ANAの胴体変形事故、早めの機首下げ影響 運輸安全委「着陸すべきでなかった」

Aviation Wire 8月1日(月)11時57分配信

 4年前の2012年6月20日に、成田空港で全日本空輸(ANA/NH)の北京発成田行きNH956便が着陸する際、主翼前方付近の胴体部外板が変形した事故で、国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は7月28日、報告書を公表した。JTSBは機長が機体がバウンドしたことに気づかず、前脚を早めに接地させようと機首下げ操作したことが原因との見方を示し、横風により機体が不安定な状態で、着陸を継続すべきではなかったとした。

 当該機のボーイング767-300型機(登録番号JA610A、02年11月22日製造)には、乗客183人とパイロット2人、客室乗務員8人の計193人が搭乗。20日午後1時23分ごろに成田空港のA滑走路(RWY16R)上で事故が発生し、ハードランディングにより主翼前方付近の胴体部外板が変形した。また、客室乗務員4人が軽傷を負った。

 報告書では、事故発生時の滑走路付近は風向きが安定せず、風速も激しく乱れていたと推定。南西風時に発生する激しい突風を伴う横風により、機体の姿勢が安定しない状況にあり、滑走路への進入や着陸は「非常に操縦操作が難しい状況」だったとして、着陸を継続したことが影響を及ぼしたとの見解を示した。

 また、ウィンドシアー(風向や風速の急変)は事故が起きた時間帯に地上では観測されておらず、当該機のウィンドシアー警報が発生するほどのものは発生していなかったとした。

 着陸により機体は中破。胴体の外板と構造部材が破断や変形し、前脚も変形した。外板は胴体前方上部に破断や変形、ゆがみがみられ、前脚格納部付近には微小なゆがみが確認された。構造部材はフレーム1本とストリンガー36本に亀裂や変形がみられた。前脚は車軸が上方へ変形するなどの損傷が確認された。機体の整備記録によると、事故発生時に不具合はなく、胴体上部の大規模修理を含めて構造部材への修理履歴はなかった。

 機首下げ操作については、機体を製造したボーイングの訓練資料が、着陸時の急激な機首下げ操作は、強い前脚の接地により胴体前方部分の重大な損傷につながるとして、行ってはならないとしている点を挙げた。報告書は「運航乗務員は、接地時の過大な機首下げ操作は行うべきではないことを十分認識することが、同種事例の再発防止として必要」と指摘した。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:8月1日(月)12時5分

Aviation Wire