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【4-6月期米GDP】前期比年率+1.2%、予想外の低成長継続

ZUU online 8月1日(月)17時0分配信

■結果の概要:成長率は、前期から上昇も市場予想を大幅に下回る伸び

7月29日、米商務省の経済分析局(BEA)は4-6月期のGDP統計(1次速報値)を公表した。4-6月期の実質GDP成長率(以下、成長率)は、季節調整済の前期比年率(*1)で+1.2%となり、1-3月期(同+0.8%)から上昇したものの、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の同+2.5%を大幅に下回った。

4-6月期の成長率を需要項目別にみると、個人消費が前期比年率+4.2%(前期:+1.6%)と前期から伸びが加速し、当期の成長率を+2.83%ポイント押上げたほか、純輸出(輸出-輸入)の成長率期寄与度も+0.23%ポイント(前期:+0.01%ポイント)と成長を押上げた。

一方、在庫変動の成長率寄与度が▲1.16%ポイント(前期:▲0.41%ポイント)と、大幅な押下げとなったほか、これまで好調であった住宅投資が前期比年率▲6.1%(前期:+7.8%)と、前期からマイナスに転じたことに加え、民間設備投資が同▲2.3%(前期:▲3.4%)と3四半期連続のマイナスとなったことが成長を押下げた。当期は、政府支出も▲0.9%(前期:+1.6%)と小幅ながらマイナスとなった。

4-6月期は、予想通り個人消費が順調な回復を示したものの、在庫投資が予想以上に成長を押下げたほか、14年10-12月期以降、高い伸びが続いていた住宅投資が予想外のマイナスとなったことが、市場予想からの下振れ要因となった。もっとも、住宅市場の基調が変化していないと考えており、これらは逆に来期の成長率を押上げることが期待できる。

今回は、年次改定に伴い過去3年分の成長率の改定値も発表された。改定の結果、14年の成長率(前年比)は+2.4%と変更はなかったもの、13年が+1.5%→+1.7%に+0.2%ポイント上方修正されたほか、15年も+2.4%→+2.6%に+0.2%ポイント上方修正された。

また、15年の四半期毎の成長率は、1-3月期が+0.6%→+2.0%と上方修正される一方、4-6月期が+3.9%→+2.6%と下方修正され、改定前に比べて成長率の変動が緩やかとなった。

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(*1)以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
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■結果の詳細:

◆(個人消費・個人所得)個人消費が前期から大幅に加速

4-6月期の個人消費は、財消費が前期比年率+6.8%(前期:+1.2%)、サービス消費が+3.0%(前期:+1.9%)と財、サービス消費ともに前期から伸びが加速した。

財消費では、自動車・自動車部品が+4.5%(前期:▲8.5%)と3期ぶりにプラスに転じたことから、耐久消費財が+8.4%(前期:▲0.6%)と前期から大幅なプラスに転じたほか、食料・飲料が+8.6%(前期:+3.2%)となるなど、非耐久消費財も+6.0%(前期+2.1%)と前期から伸びが加速した。

サービス消費は、医療サービスが+3.8%(前期:+5.6%)と前期から伸びが鈍化したものの、住宅・公共料金+4.2%(前期:0.7%)などが伸びた。

一方、所得は実質可処分所得が+1.2%(前期:+2.2%)と、前期から伸びが鈍化した。消費の伸びが所得を上回った結果、貯蓄率は5.5%(前期:6.1%)と、前期から低下した。

◆(民間投資)住宅投資が予想外の落ち込み

4-6月期の民間設備投資の内訳をみると、設備機器投資が前期比年率▲3.5%(前期:▲9.5%)と3期連続でマイナスとなったほか、建設投資が▲7.9%(前期:+0.1%)と前期からマイナスに転じた。

とくに、原油価格の下落に伴い資源関連が▲57.8%(前期:▲32.7%)と大幅なマイナスとなったことが大きい。一方、知的財産投資は+3.5%(前期:+3.7%)とプラスを維持した。

最後に、住宅投資は14年1-3月期の▲1.4%以来のマイナスとなった。住宅投資は14年10-12月期から5期連続の2桁増加となっていたことから、伸び鈍化が見込まれていたものの、マイナスに転じたことは予想外であった。もっとも、住宅販売などの住宅関連指標は堅調となっており、住宅投資の落ち込みは一時的とみられる。

◆(政府支出)14年10-12月期以来のマイナス

政府支出は、14年10-12月期の前期比年率▲0.4%以来のマイナスとなった。政府支出の内訳をみると、地方政府支出が▲1.3%(前期:+3.5%)と、前期の大幅なプラスからマイナスに転じたことが大きい。

さらに、連邦政府支出も▲0.2%(前期:▲1.5%)と、国防関連支出が▲3.0%(前期:▲3.2%)とマイナスとなったこともあり、2期連続でマイナスとなった。一方、非国防支出は+3.9%(前期:+0.9%)と前期から伸びが加速した。

◆(貿易)財輸出が牽引

4-6月期の輸出入の内訳をみると、輸出が前期比年率+1.4%(前期:▲0.7%)と4期ぶりにプラスに転じた一方、輸入は▲0.4%(前期:▲0.6%)と2期連続のマイナスとなったことから、純輸出は、輸出主導のプラス寄与であったことが分かる。

輸出を仔細にみると、サービス輸出は▲0.9%(前期:▲2.2%)と2期連続でマイナスとなったものの、食料・飲料が+20.9%(前期:▲10.3%)、自動車・自動車部品が+4.9%(前期:▲0.1%)と前期からプラスに転じるなど、財輸出が+2.7%(前期:+0.1%)と前期から伸びが加速し、輸出を牽引した。

一方、輸入はサービス輸入が+1.5%(前期:+2.5%)と伸びは鈍化したものの、前期からプラスを維持する一方、財輸入が▲0.9%(前期:▲1.3%)と2期連続でマイナスとなった。

財輸入では、民間航空機関連が+50.0%(前期:▲37.2%)となったことから、資本財(自動車除き)は+10.2%(前期:▲8.9%)と前期から大幅なプラスに転じたものの、自動車・自動車部品が▲10.3%(前期:+0.5%)、消費財(食料、自動車除き)が▲5.4%(前期▲5.5%)とマイナスとなった。

◆(物価・名目値)物価上昇圧力は抑制された状況が持続

4-6月期のGDP価格指数は、前期比年率+2.2%(前期:+0.5%)と、前期から伸びが加速、市場予想(同+1.9%)も上回った。その結果、名目GDP成長率は+3.5%(前期:同+1.3%)と、前期から伸びが大幅に加速した。

FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数(*1)は、前期比年率+1.9%、前年同期比+0.9%(前期:+0.3%、+0.9%)となった。さらに、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+1.7%、前年同期比+1.6%(前期:+2.1%、+1.6%)となった。エネルギー価格が反発していることもあり、PCE価格指数の前期比年率の伸びは加速している。

もっとも、前期比年率では、PCE価格指数、コア指数ともにFRBが目標とする2%を下回っており、物価上昇圧力は抑制された状況が持続している。

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(*1)現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

最終更新:8月1日(月)17時0分

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