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GPIFの2015年度運用実績は5兆円の赤字、どう考えればよい?

THE PAGE 8月2日(火)7時0分配信

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は29日、2015年度の運用実績が5兆3098億円の赤字になったと発表しました。この結果はどう判断すればよいのでしょうか。また、わたしたちの年金は大丈夫なのでしょうか。

累積でみるべきか単年でみるべきか

 以前の公的年金は安全運用が第一ということで、資金のほとんどを国債で運用してきました。しかし安倍政権はこれまでの運用方針を180度見直し、株式を中心としたリスク運用への転換を行いました。日本の公的年金は受給者への支払が、現役世代からの徴収額をはるかに上回っており、このままでは積立金があと数十年でなくなってしまいます。年金を維持するためには、足りない部分を運用収益で埋め合わせる必要があり、株式などリスクの高い投資に集中せざるを得ない状況となっています。大きなリスクがあるにもかかわらず、安倍政権が年金運用の株式シフトを進めた理由はここにあります。

 運用を株式中心にしたということは、年金財政は株式市場の動向に大きく左右されることを意味します。GPIFは累積の収益額が45兆4239億円あることを強調していますが、公的年金の性質上この考え方はあまり適切とはいえません。年金積立金を運用するのは、毎年発生する年金財政の赤字を運用益によって穴埋めすることが目的です。毎年得られる運用益の一部は年金特別会計に支出していますから、累積ではなく今年にいくらの収益を得られたのかがむしろ重要です。

 2014年度は株価が大幅に上昇した結果、運用収益は15兆2922億円、収益率は12.27%になりました。このため年金を管理している年金特別会計には、赤字の穴埋め分として3兆2710億円が支払われています。しかし今年は5兆3098億円の赤字ですから運用益がありません。

 年金の支払いは待ってくれませんから、2015年度には2750億円がやはり穴埋め分として支払われました。昨年度の運用益の残りがあるため、完全なマイナスにはなっていませんが、考えようによっては、運用資金から配当を行うタコ足配当のようなものです。

年金支給に影響が出ることは不可避

 諸外国の年金運用のように国債が中心であれば、金額は小さいものの毎年確実に利益が見込めます。しかし運用を株式中心に変えてしまった以上、株価が大幅に下落した場合には、年金支給に影響が出ることはやむを得ません。

 ちなみに今回の損失額については、現時点におけるGPIFのポートフォリオから考えればごく自然な数字です(GPIFの運用が特に下手くそなわけではありません)。現在の運用は完全に株価に依存しており、株価が上がれば年金財政が潤い、株価が下がれば逼迫することになります。年金加入者としては株価が上昇することを祈るしかないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:8月2日(火)7時0分

THE PAGE