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自分の“市場価値”を換算してみてはいかが?

ITmedia ビジネスオンライン 8月1日(月)6時40分配信

 少し前のことですが、25歳の女性から「お金持ちと結婚するためにはどうしたらいいのでしょうか?」という質問に対し、J.P.モルガン社長の「美しさは目減りする資産だから短期保有、つまりレンタルならいい。結婚は長期保有」という回答が秀逸だという話がありました。実はこれ社長の回答ではなかったのですが、この話は的を射ているのではないでしょうか。

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 銀座のクラブでも同じように、若さだけをウリにするのはあまりにも時間が限られていて、その人の価値は日々変動します。これに該当するのは、女性だけではないでしょう。

 今回は、商品もビジネスパーソンも「時価」であるというお話をしたいと思います。

●自分の市場価値を知る

 世の中には家、宝石、保険など、さまざまな商品がありますが、それらは10年前も10年後も同じ価値でしょうか? 市場の変動により、家も宝石もまたたく間に値段が上下しますし、保険商品も加入年齢によって変わります。

 われわれの業界――快適な空間を提供する銀座のクラブも、世の情勢次第で価値が変動します。つまり、すべての商品は“時価”と言えるでしょう。では、実際に売り込む立場である営業職の人たちの価値はどうでしょうか?

 基本的に営業職は、売り上げによって評価されます。「基本給÷稼働日数」で1日の価値が数値化され、さらに労働時間で割ると1分当たりの価値が算出できます。それに、プラスアルファのインセンティブなどを踏まえて営業職の“時価”が決まります。

 1分換算ではじき出された数字は、今のあなたの価値です。会社員ならば会社が評価する価値、独立している人も今の価値が分かります。それが安いか高いかはそれぞれの立場でないと分かりませんが、会社や世間のあなたに対する市場価値はその値段ということです。

 以前のコラムで“お客さまは神様ではなく王様”だというお話をしました。営業職で成功したいなら、王様に自分の商品価値を高く評価してもらわなくてはなりません。そのために、商品も自分自身も“時価”だということを強く認識する必要があるのです。

●ささいなことで市場価値は暴落する

 次に、全国のクラブで働くホステスに共通する話をさせてください。今でこそオーナーママの私ですが、ホステス時代も含め、雇われていた時代がありました。従業員としてではなくいち個人事業主として、会社と業務委託契約書を結び税務処理も自分で行っていました。

 「それは大変」と思われたかもしれませんが、私だけが行っていたのではありません。ほとんどのホステスが同じように契約書を結び、税務処理を行っています。雇われママもナンバーワンホステスも歩合制なので、お給料は成績によって変動します(中には時給制や給与制のホステスもいます)。

 ホステスが結ぶ業務委託契約の中には、いろいろな規定があります。ほとんどのお店にはノルマがあり、人によってその内容はさまざま。ご存じの人もいらっしゃるかと思いますが、ノルマには同伴や動員(お客さまを店に呼ぶこと)、売り上げなど、これらのノルマを達成しなければ、給料は大きく目減りします。

 私がヘルプホステスだったころは同伴や動員のノルマがなかなか達成できなかったので、お給料は少しだけ……という時代がありました。しかし、ここで「昨日同伴したのに、強制日に同伴できなかったからといってペナルティーをとらないでよ」などとふてくされていたら、市場での私の価値は見る見る暴落したことでしょう。

 これは、若さやかわいさだけをウリにしているヘルプのホステスも同じです。「若い」「かわいい」というだけで、お姉さんホステスやママから同伴をもらってノルマをこなしていると、ある日突然、同伴を振ってもらえなくなります。なぜかというと、彼女よりも若くてかわいい新人が現れた途端に価値が下がるからです。

 冒頭でも触れましたが、若さやかわいさをウリにできる期間はあまりにも短い。それを上回る人が現れると市場価値は暴落します。私も、腐り続けて自分の売り方や策を練らなければ、あっという間に買い叩かれていたことでしょう。

 ビジネスパーソンも同じように、評価は成績によって大きく変動します。今日も明日も明後日も約束されたわけではありません。

●自分の市場価値は妥当か

 先の方法で自分の価値を算出して、「こんなものか」と思った人はどうすればいいのでしょうか。成績を倍以上に伸ばすか、はたまた違う道を進むのかを選択するほうがいいのかもしれません。

 「サラリーマンでいることに何の迷いもなかったけれど、ある日、給料明細を見て『会社が考えるオレの価値ってこんなものか』と思ったら、勤めるのが急にバカらしくなってね。会社を辞めて今の道を選んだよ」とおっしゃるのは、現在、投資会社を経営しているAさん(50代)。

 「人の価値をお金に換算することはできないけれど、雇われている間は会社から出る給料がその人の評価。商品は時期を考えないと売れないけれど、会社はそんなの関係なく『とにかく売ってこい』の一点張り。どんなにがんばっても数字が伸びなければ、給料に反映されないというのに疲れてしまってね。『このままサラリーマンとして終わっていいのか』と考え、『勝負しよう』と思いリスクを取って独立した。独立したばかりのころは金策や人間関係などで苦悩もあったけれど、それでも独立をしてよかったと思っている。今は時間に縛られない生活ができているし、旅行はオフシーズンに安く行けるしね」と、Aさんは笑います。

 「本来、自分の価値は自分が一番よく分かっている。『この評価は違う』と思ったら、その会社のキャパに自分が収まらないほど成長したという証だよ。自分の人生なんだから、自分がカジを取らないと。世間や周りに流され続けていたら、そこから抜け出せなくなる。生かすも殺すも自分の決断次第だ。僕は、今の選択をしてよかったと思っているよ」

 命はお金では買えませんが、日々何かしらとお金は密接に絡み付いてきます。しかし、自分の今の市場価値をはじき出すことによって、それが妥当なのか高いのか、はたまた安いのか――それを客観的に見れば、今の仕事への思いや時間の使い方が大きく変わるかもしれません。

 お盆休みで少し時間があったら、ぜひ自らの市場価値を換算してみてください。

(桃谷優希)

最終更新:8月1日(月)6時40分

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