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AIが投資判断をする時代、人間は何をすればいいのか?

投信1 8/1(月) 21:10配信

AIが活躍する時代には銀行はなくなり、運用担当者の仕事もなくなってしまうかもしれない、ということを前回の記事で書きました。AIが世界中の投資機会に関するビッグデータを分析することで、人間より適切な投資判断ができるようになる可能性が高いからです。

それでは、投資や融資の世界における人間の役割はなくなってしまうのでしょうか? 

未来は過去の延長線上にあるのか?

少し話が大きくなりますが、このテーマは、「未来は過去の延長線上にあるのか否か」という問題と関わってきます。「未来が過去の延長線上にある」とは、過去に起きた事象のパターンが未来にそのまま生かせる、ということです。

もしそうであれば、人間がAIに勝てる可能性は少ないでしょう。過去の膨大なデータを分析し、そこからパターンを探り出し、未来に起こることを予測する、という能力において、人間はAIに勝てないからです。なるべく多くの情報を集め、それを分析して合理的に意思決定するというのはAIの得意分野です。

しかし、ここで、2つの問題が出てきます。

問題1:世界はそんなに合理的に動いているのか?

もし、世の中のありとあらゆる情報を集めてきて、それらを全て合理的に分析できるAIがあったとしたら、必ず正しい未来を予測して、最適な投資判断ができるのでしょうか? 

19世紀のフランスの数学者であるピエール=シモン・ラプラスは、このような「現時点で世界に存在する全ての情報」を把握できる超越的存在、を仮定しました。これは「ラプラスの悪魔」と呼ばれています。究極のAIのようなもの、と考えればよいかもしれません。

当時主流だったニュートン力学によれば、現時点での原子の位置と運動量を知ることができれば、その後の原子がどう動くのかを計算できます。「ラプラスの悪魔」は、人間の脳内における神経伝達物質を構成する原子の位置と運動量さえも全て把握していると仮定されています。

よって、「ラプラスの悪魔」は、我々人間が未来にどのような意思決定をするかも全て計算できる、ということになります(人間の意思決定も脳内の神経伝達物質の作用の結果と考えられるため)。

つまり、“未来は既に決定している”ということです。これを「決定論」と呼びます。

しかし、20世紀前半から始まった量子力学の分野で、この決定論は揺らぎます。素粒子の世界では、現時点での物質の位置と運動量を知ることができても、次の瞬間の物質の位置と運動量を予測できない、ということが確かになったのです。

これは、ラプラスの悪魔でさえも未来を予測できない、ということを意味します。ミクロの世界では、未来は本質的に不確実なのです。私たちが住むマクロの世界も、ミクロの世界の集まりですから、本質的に未来に何が起こるかは分からない、とも考えられます。

たとえラプラスの悪魔並みの性能を持ったAIが現れても、将来の正確な予測はできないのかもしれません。

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最終更新:8/1(月) 21:10

投信1