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<北朝鮮>市場経済の拡大はどのような社会変化をもたらしたか(5) 不動産市場が確立 売買される国有住宅 ~内部映像を材料に考える~ 石丸次郎

アジアプレス・ネットワーク 8/1(月) 13:54配信 (有料記事)

4 不動産の市場取引

不動産の市場取引

定着した国有住宅の闇取引
社会主義を標榜する北朝鮮では、土地や住宅などの不動産は共同所有が原則であり、党や政府機関、企業所が、住宅を勤労者に無償で提供することになっている。しかし、現実には住宅は売買の対象になっており、都市部でも農村でも、金を出さないと住まいを手に入れられなくなっている。

住宅事情の悪化にもかかわらず、国家が住宅を供給できなくなったために闇取引が始まったのだが、これは、食糧配給制が麻痺して闇市場が拡大したのと構図は同じである。

北朝鮮では土地は国家所有で、住宅も1958年の「社会主義樹立」以前に建てられたごく一部の例外を除いて(日本の植民地時代に建てられた家屋など)、すべて国家と、協同農場などの協同団体による社会的所有であり、売買・賃貸・抵当(家を借金の担保にとること)はいずれも禁止されている。
※1958年、金日成は都市手工業と資本主義的商工業の社会主義的改造が完了したと宣言した。

朝鮮戦争後の1950年代後半にベビーブームが起こって以来、北朝鮮ではずっと深刻な住宅難が続いてきた。この「戦後世代」が結婚年齢に到逹した80年代、人口増に国家の住宅供給がまったく追いつかなくなった。特に都市部では、二世帯同居、一間をカーテンで仕切って二家族が使うということも珍しくなかった。

住宅問題が構造的に変化したのは1990年代の「苦難の行軍」が発端だった。生活苦に喘ぐ人たちが、最後の手段として住宅を売りに出し始めたのだ。また大量の餓死者の発生もあり、住宅の「大量供給」がにわかに発生した。これは生活に余裕のある人々にとっては、より広くて便利な場所に家を手に入れられる機会となった。現在では都市部と農村部を問わず、北朝鮮全域で実質的な「住宅取引市場」が機能している。だがそれはあくまで非公式なもので、法制度が変わって不動産の個人所有が認められたわけではなない...本文:5,130文字 この記事の続きをお読みいただくには、アジアプレス・ネットワークの購入が必要です。

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最終更新:8/1(月) 16:30

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