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古湯に移住波じわり 人気カフェが交流の起点 佐賀

佐賀新聞 8月1日(月)10時38分配信

 温泉街がある佐賀市富士町古湯地区に、県内外から拠点を移す人たちが増えている。この1年間で14組が入り、空き家を埋め始めた。改装したカフェが起点となり、豊かな自然と人情味あふれる地域の魅力がじわりと浸透し、新住民は地域にスムーズに溶け込んでいる。地元自治会も昨年、空き家対策チームをつくって富士町全体への波及を目指している。

 石畳の中央通りを東に入ったところにあるカフェ「古湯キッチン10」。昨年6月にオープンし、ランチには県外からも客がやってくる人気店だ。スタッフの1人、島内明子さん(38)は「気軽に入れてゆっくり過ごせる」と人が集まる理由を話す。ソファが置かれた店内では月に1度、満月の日に宴会を開くなど、地域住民の憩いの場にもなっている。

 4月、カフェに集まる移住者が中心となり街歩きイベント「ふるゆ温泉ゆっくりくるっとおさんぽ市」を開いた。地区全体を散策しながら、映画を見たり軽食などを楽しんだりする仕掛けが好評で、「温泉通りをこんなにたくさんの人が歩いているのを見るのは久しぶり」と住民も喜んだ。

 春に夫婦で隣の三瀬村から移ってきた富士観光案内所職員の庄島貴寛さん(24)は「わいわいと盛り上がる人たちを見て、一緒に暮らしたら楽しいだろうなと思った」と転居のきっかけを話す。

 富士町は人口3904人、そのうち65歳以上の割合は39%と、佐賀市平均の26%を大きく上回る。空き家の数は昨年5月時点で27軒あった。

 地域の高齢化と過疎化に危機感を抱く古湯の山口澄雄自治会長は新旧住民や富士支所職員ら15人に声を掛け、空き家対策チームを設立した。空き家を賃貸物件として使えるよう持ち主と交渉し、希望者がスムーズに移住できるように態勢を整え、移住者の増加を押し上げた。

 契約数は昨年4月から1年間で佐賀市内や唐津市など県内9組、福岡県からも5組に上る。山口会長は「移住者らの頑張りは本当にありがたい。ただ、プロジェクトはまだ始まったばかり。移住者が気兼ねなく地元住民と連携できる環境を整えていきたい」と意気込む。

最終更新:8月1日(月)10時38分

佐賀新聞