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[総体]最悪の春経験した流経大柏が演じる物語“夏の章”、昨夏の雪辱果たして準決勝進出!!

ゲキサカ 8月1日(月)6時54分配信

[7.31 全国高校総体準々決勝 履正社高 0-1 流通経済大柏高 広島広域公園補助競技場]

 夏の高校日本一を争う平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(男子)は31日、準々決勝を行った。初の4強進出を懸けた履正社高(大阪2)と2回目の優勝を目指す流通経済大柏高(千葉1)との昨夏2回戦の再戦となった一戦は、流経大柏が1-0で雪辱勝利。3年ぶりの4強入りを果たした流経大柏は8月1日の準決勝で青森山田高(青森)と戦う。

 流経大柏は昨年、後半アディショナルタイム突入から5分が経過した40分に1-1に追いつかれ、PK戦の末に敗戦。その悔しさを忘れていなかった。経験者のひとりであるMF本田憲弥(3年)は「去年、最後出ていたんですけどあそこで失点したんで、今年は絶対に負けられないというのがあった。去年(の失点)はスローインからだったと思うんですけど、気の緩みがあったと思う。自分は声出して、みんなに(緩まないよう)言うようにしていた」と語り、キャプテンマークを巻いたMF関大和(3年)は「1点リードして最後迎えるのは去年と同じ形で、みんな『もう一回締めろ』というのと『無駄なファウルをなくそう』と話していました」と振り返る。また、後半半ばの3分間のクーリングブレイク時には「最後まで集中しろよ、去年みたいになるから」という声が選手、スタッフ間から飛んでいた。全員が活かした昨年の“悪夢”の反省。そして7分間を越えるアディショナルタイムを無失点のまま乗り越えると、赤いユニフォームは拳を突き上げて勝利を喜んだ。

 今季の高円宮杯プレミアリーグEASTは「史上最悪」の開幕6連敗。だが、総体千葉県予選決勝でライバル・市立船橋高を破って千葉1位で勝ち上がってきた流経大柏の選手たちは今回の全国総体で優勝し、現在最下位のプレミアリーグで逆転残留し、選手権で全国、そして……という波乱万丈のドラマのような“物語”に挑戦している。この日、雪辱勝利を果たして物語の“夏の章”とも言える全国総体の頂点まであと2つ。今大会、帯同していない本田裕一郎監督に代わって指揮を執る榎本雅大監督代行は「選手にやろうという気持ちがあるから、日に日に良くなっている。細かいことをやらなくてもウチらしさ出して、ということは来る前に(本田)監督にも言われている。その中で落ち着いたゲーム運びができている」と頷いた。

 流経大柏はU-16日本代表CB関川郁万(1年)が3回戦で負った負傷の大事を取って欠場。中盤で存在感を示していた関を最終ラインへ移し、中盤中央では本田とMF宮本優太(2年)がコンビを組んだ。「スタイルがプレスなので前の選手からの守備が効かなくなるとやっぱりウチらしくない」と榎本監督代行が話したように、流経大柏は気温33.8度の暑さの中でハイプレスを敢行。ボールを奪うとスペースへのロングボールを多用してそこにFW古谷三国(3年)やFW宮坂昂輝(3年)が走り込み、捨て身で競りに行くなど攻撃の起点を作ろうとする。そしてクリアボールを宮本が次々と回収。そして徹底した攻撃で相手に圧力をかけようとする。

 一方、履正社は奪ったボールをMF坂本樹(2年)とMF大塩真生(3年)のダブルボランチを経由して逆サイドへ展開。だが、平野直樹監督が「スピードアップするべきところでスピードアップできない。やっていない」と振り返ったように、キーマンの右FW澤島輝(3年)や左FW安羅修雅(2年)にまではボールが届いていたもののの、そこから攻撃を加速することができなかった。積極性を欠いた部分があったか、それても相手の急所への共通認識が甘かったか、それとも相手のプレスに自由を奪われていたのか。その中で流経大柏にとって、相手のサイドアタッカーやFW町野修斗(2年)の仕掛けを少なくさせた部分は狙い通りの展開。榎本監督代行は「(履正社は)前の個のアタックが脅威だなと思っていた。だから前に入る前にボールを奪うこと、あるいは入っても後ろ向きにさせることを意識していた。佐藤とか1年生の割には凄いよく対応してくれた」。連動したプレッシング、個々の対応で相手の良さを消し、そして一発を狙い続けた。

 互いにシュートシーンをほとんどつくれないまま進んだ試合の先制点は後半4分に生まれた。流経大柏は宮坂とのパス交換から10番MF菊地泰智(2年)が個人技でPAへ割って入り、左足シュート。このこぼれ球を長い距離を走ってサポートしていた本田が左足で押し込んだ。地区予選を通じて総体初ゴールの本田がベンチ前まで駆け寄ってサブ組たちと歓喜の抱擁。待望の先制点を奪った流経大柏は後半から出場したFW加藤千尋(3年)が前線でボールをおさめることによって時間をつくる。それによって菊地やMF冨永和輝(3年)が攻撃に絡むシーンが増え、連動したサイド攻撃からチャンスをつくり出した。

 流経大柏は本田のループパスや菊地の突破、冨永のクロスからあわや追加点のシーンを連発。CB清翼空(3年)が好カバーリングを連発していた履正社も後半25分、クリアボールに反応したMF野口天葵(1年)の右足シュートが右ポストをかすめ、35分には左サイドを町野が抜け出す。決定的なシーンだったが、流経大柏はゴール前で宮本がカバーして得点を許さず。ロングボールを跳ね返し続けたCB松浦駿平(3年)や1対1の守備や運動量光った左SB市川侑麻(3年)、関ら全員で集中した守りを見せた流経大柏が1点を死守して雪辱劇を完結させた。

 流経大柏の準決勝の対戦相手はプレミアリーグ開幕戦で0-3の完敗を喫している青森山田。本田は「2回も負けられない。自分たちのやることをしっかりやれば勝てると思う。勝ちたい」と宣言した。履正社戦に続いてリベンジを果たすか。関は「勝つことだけ考えてここから準備したい。みんな、元気ある。みんな、モチベーション高くやれているんでいい感じで出来ていると思う」。今大会の流経大柏は登録17人が先発、交代出場と試合によって変わる役割の中で力を出し切っていることが印象的だ。最悪のスタートを切った今季。地区予選から全7試合無失点で勝ち上がる流経大柏が、まずは夏の頂点に王手をかける。

[写真]後半4分、流経大柏は本田が決勝ゴール(写真協力=高校サッカー年鑑)

最終更新:8月1日(月)7時8分

ゲキサカ

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