ここから本文です

柳津の只見川、鯉再び 豪雨から6年目…復活へ稚魚放流

福島民報 8月2日(火)9時42分配信

 光り輝く鯉よ再び-。新潟・福島豪雨から6年目の夏。福島県柳津町を流れる只見川支流で、大水害により姿を消した錦鯉や緋鯉(ひごい)の群れを復活させるプロジェクトが始まった。町内有志が、一大産地・新潟県魚沼市の業者から2000匹超の稚魚を譲り受け、1日放流した。JR只見線沿線の活性化を願う固い絆が観光地の再生と復興を後押しする。
 柳津町内の只見川に合流する支流・銀山川。「元気に育ってくれよ」。町内有志によるプロジェクトの代表を務める柳津町商工会長の天野俊彦さん(62)は1日、同商工会副会長の山内拓也さん(53)らと一緒に復活への願いを込めて小さな命を川へと放した。金色の錦鯉や赤色の緋鯉の稚魚が、夏の日差しを受けてきらきらと輝きながら水面を走った。
 銀山川では戦前から錦鯉や緋鯉の群れを見ることができた。両河川の合流地点に立つ福満虚空蔵尊円蔵寺からも魚群を確認でき、町民や観光客に親しまれた。しかし、平成23年7月。集中豪雨で氾濫した銀山川の濁流が鯉の群れを一瞬で押し流してしまった。
 あれから丸5年。JR只見線は一部区間が不通で、町内の観光もかつてのにぎわいは戻っていない。「鯉を復興のシンボルにできないか」と天野さんは有志14人と立ち上がった。
 「何とか協力できる業者を探してみよう」。7月中旬に魚沼市で開かれた只見線沿線の商工会の交流会で、同市幹部や市内の商工会関係者らが協力を申し出た。「只見線沿いを活性化したいとの思いが、県境を越えて1つになった」と話す天野さん。すぐに市内の養殖場を紹介された。
 養殖場は16年の中越地震で1度は壊滅したが、見事に復活していた。同じ被災地への協力を快諾した。有志が用意した資金で購入できる数よりはるかに多い稚魚を無償で譲った。
 稚魚は5~10センチだが、1年もすれば20センチ弱に育つ。秋にも放流する計画だ。すぐ近くにはウグイが生息する国の天然記念物「魚渕(うおぶち)」がある。大水害で一時は全滅したが、この5年間で次々と戻ってきた。「鯉と魚渕を守り、いつか柳津を“魚の里”にする」。天野さんは日焼けした笑顔に固い決意をにじませた。

福島民報社

最終更新:8月2日(火)9時58分

福島民報