ここから本文です

イオンの無人運転バスでは店舗に入れない!? 実証実験が苦渋のスタート

MONOist 8月2日(火)6時25分配信

 イオンは2016年8月1日、無人運転バスの試験運行を開始すると発表した。期間は同日から8月11日までで、イオンモール幕張新都心に隣接する豊砂公園(千葉市美浜区)の敷地内のみを走行する。車両はディー・エヌ・エー(DeNA)が業務提携しているベンチャー企業、EasyMileが開発した「EZ10」を1台使用する。乗車料金は大人200円、小学生以下100円。

【無人運転バスの車室内やセンサーなどその他の画像】

 イオン 地域エコシステム プロジェクトリーダーの齊藤岳彦氏は「われわれが当初思い描いた運行コースではないが、安全に走行する環境を整備した実績を積み重ねていくことで、走行範囲を拡大していきたい」と語る。

●日本初導入の無人運転バス

 イオンが無人運転バスの試験運行に着手したのは、地域住民や行政、企業などと連携して地域発展を目指す「地域エコシステム」の取り組みの一環だ。今回の試験運行を通じて地域内の交通や移動の進化につなげる。DeNAが提供する無人運転バスを採用したのは、「環境に優しい電気自動車で無人運転が可能な上、安全にも配慮されているから」(齊藤氏)だという。

 この無人運転バスは「日本初導入」(イオン、DeNA)だとしている。乗車定員は着席6人、立ち乗り6人の計12人乗りだが、定員よりも少ない人数で走行させる計画だ。乗り口のスロープを出せば車いすを乗り込ませることもできる。車両のサイズは全長3928×全幅1986×全高2750mm。

 EasyMileが開発したEZ10は、GPSとライダー、車両前方に装着したカメラを使用し、事前に走行して経路の3次元地図を作製する。その3次元地図に基づいて停車位置や走行速度を設定した上で運行する。歩行者や障害物が経路上にある場合は、車両の四隅に装着したライダーが検知して減速/停車する。

 千葉市は、イオンが地域エコシステムを展開する第1弾のエリア。同市の幕張・稲毛地区の取り組みを同市全域に広げていく計画だ。試験運行を行う豊砂公園は、片側一車線の道路を挟んでイオンモール幕張新都心に隣接している。千葉市が所有する土地だが、イオンモールが管理を一部受託している。

●安全第一での運行

 無人運転バスは公園の敷地内のみを走行する。「二重三重に確認した上で確実に安全な環境を整えた」(齊藤氏)という。距離にして片道250mで、往復500mをおよそ5分かけて走る。無人運転バスの最高速度自体は時速40kmだが、公園の敷地内では時速10kmまでの速度で運行する。

 無人運転バスが走行するルートには、公園の利用者が立ち入らないよう柵を設けており、誤って立ち入らないよう警備員も配置している。無人運転バスの運行状況は、公園敷地内のテントおよび店舗内から監視する。また、車内にはスタッフが添乗し、発車やドアの開閉を操作する。

●警察と協議の結果、短すぎる走行ルートに

 イオンが無人運転バスを走らせるのは、公園の敷地内の端から端までの250mを往復するだけで来店客の動線とは無関係のルートだ。その上、有料なのでアトラクションのようにしか見えない。

 当初イオン側が思い描いたルートはこれとは異なるものだった。

 イオンの齊藤氏は「店舗前の道路から公園内まで、ぐるっと走らせたら面白いよねと社内で話が出ていた。しかし、警察に走行ルートを相談した時に、歩行者や一般車両と交錯する場合の安全は確保できるのかと指摘された。警察から“自動運転はダメ”と言われたわけではないが、安全確保が難しかったので公園の敷地のみに限定した。将来的には広い敷地のモール内を走らせたいと考えている」と述べた。

 無人運転バスを運行させる範囲の拡大については未定だ。また、イオンモール幕張新都心周辺の駅から店舗までの輸送ではなく、あくまでイオン敷地内のサービス充実につなげる考えだ。

 今回の試験運行では、「無人運転車が安全な乗り物であることを実感してもらえれば収穫だ。また、走行ルート周辺の安全確保は、今後のルート設定に生きる経験になるだろう」(同氏)。

 小型で小回りの利く無人運転バスは、大型バスが進入できないショッピングモール内でのきめ細かいサービスに貢献すると齊藤氏は見込んでいる。

最終更新:8月2日(火)6時25分

MONOist

豊洲へなぜ市場移転 経緯と課題

築地から市場が移転される豊洲で、都が土壌汚染対策をしていなかったことが発覚。そもそもなぜ豊洲に移転するのか、経緯と課題を知る。