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それはホントにお客さんのため? ファミマの新フランチャイズ契約を分析してみた

ITmedia ビジネスオンライン 8月2日(火)7時58分配信

 先日、ファミリーマートがフランチャイズ(以下、FC)契約を変更したという報道があった。記事によれば、店舗の運営費を本部がより多く負担する契約内容にしたという。

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 ファミマに限らず、コンビニのFC契約はコロコロ変わる。10年、あるいは15年後に、コンビニを始めたときと同じ内容で契約更新できるとは限らないのだ。

 今回は、コンビニのFC契約に焦点を当ててみた。

●コンビニの契約内容は大きく分けて2種類

 コンビニのオーナーになるには、まず本部とFC契約を交わさなくてはならない。そして、その契約に基づいて、10年から15年という長い期間営業する。その期間が過ぎると契約更新となり、営業を継続するのが一般的だ。

 コンビニの契約内容は大きく分けて2種類ある。自分の所有する土地建物にコンビニをつくるタイプと、本部が土地建物を用意するタイプだ(ただし、細かい点で相違する複数の契約を用意するチェーンもある)。コンビニのFC契約は定期的に見直しをするので、10年、あるいは15年後の更新時には、各契約の最新版が適用されることとなる。更新時にオーナーが「以前の契約のほうがいいんだけれど……」と言っても、「今はその契約はありません」と一蹴されてしまう。

 コンビニ大手3社をはじめ、ほとんどのFC契約には、通常契約更新時についても記載されている。代表的な契約更新事例としては、「初回契約から10年までは50%のロイヤルティーを、更新すれば48%に減らします」など、更新時に本部へ支払うロイヤルティー軽減をうたうのはよくある。

 ところが、新しいFC契約ができると状況は一変する。これまでの契約内容が考慮されることもあるが、ほとんどの場合、新たに新FC契約を締結するために過去の契約内容は無効とされてしまうのだ。これに対して、不服申し立てをしたところで何の意味もない。「では、期間満了に伴い契約を終了しましょう」で片付けられてしまうのだ。

●ファミマの新旧の契約内容を比較

 では、今回のファミマのFC契約はどうなのだろうか? 新旧の契約内容を比較してみよう。

・旧契約:「ファミリーマート フランチャイズ契約の要点と概説 -法定開示書-」(2016年8月31日以前に開店)
・新契約:「ファミリーマート フランチャイズ契約の要点と概説 -法定開示書-」(2016年9月1日以降に開店)

 比較には「2FC-N」という、土地建物と内装費用を本部が負担するタイプで、開店時においてはオーナーの出資金が一番低い契約のものを対象とする。

 筆者が確認したところ、目立った変更点は以下の点だ。

水光熱費

旧契約: 年間360万円を超えた部分を本部負担新契約: 年間360万円未満の90%を本部負担

 年間360万円というと、ひと月当たり30万円の計算になる。筆者の経験で言うと、水光熱費が月額30万円を超えるのはかなり使っている印象だ。つまり、今までは本部側の負担はほとんどなかったと言えよう。

 それに対し、新契約では360万円未満の90%を負担すると明記している。本部にとっては、今までにない経費が発生するのは確実である。

廃棄ロス

 旧契約では全額店舗負担となっていたが、新契約では細かく分類されているものの、水光熱費と同様、本部にとっては新たな経費の負担となる。廃棄費用を本部が出すことで、深夜時間帯の品ぞろえ改善を目的としているようだ。

 これにより、店舗の経費が月額60万~100万円軽減されることに。オーナー店長にとってはうれしい契約内容と言えるだろう。

●契約改定後も本部はガッツリ

 店舗側の経費負担が軽減されるということだが、次に本部のフィーに注目してみよう。水光熱費や廃棄ロスなど、一見、本部側の負担が増えたように思えるが、実は本部の取り分はちゃっかり別のところで増やしてバランスを取っているのだ。

 契約書を確認すると、店舗は以下の割合で本部フィーを支払うとされている。例えば、契約タイプ「2FC-N」では、300万円以下の場合はなんと11%も増えていたのだ。

旧契約

・300万円以下 48%
・300万1円~450万円 60%
・450万1円~ 65%

新契約

・300万円以下 59%
・300万1円~550万円 63%
・550万1円~ 69%

 新旧の比較をより分かりやすくするため、300万円と450万円の場合で本部と店舗の取り分を計算してみた。

 このベースとなっている300万円、450万円とは本部が決めた計算による「粗利益」のことを指す。多くのFC契約は、この「粗利益」(経費を引く前の利益)をもとに分配している。

 以下のグラフをご覧いただきたい。2015年の売り上げが2兆55億円、店舗数が1万834店である(エリアフランチャイズは除く)。

 2016年度第1四半期(3~5月期)のファミマ1店舗当たりの平均日販はおよそ50万円。売り上げや契約内容によって変動があるので正確なシミュレーションは難しいが、ざっくり計算すると、1カ月を30日として1500万円、粗利益が28%だと仮定して、420万円を本部と加盟店で分配することになる。おおまかな計算ではあるが、420万円を新旧で単純比較すると、ひと月当たりの本部の収入が36万円ほど増えることになる。この36万円が、「水光熱費」+「廃棄ロス」より上なのか下なのか……。

 筆者はこの連載で「コンビニ本部は絶対に損をしない」と何度も書いてきた。今回の試算は正確さには少々欠けるが、報道にあるような「品ぞろえを強化してお客さまへのサービス向上を目指します。そのために本部は身銭を切って、加盟店が品ぞろえしやすい環境作りをします」というのは、少し美化し過ぎではないだろうか……と考えている。

(川乃もりや)

最終更新:8月2日(火)7時58分

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