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AIは人を単純作業から解放し、創造性を引き出す存在に――NEC新野社長

ITmedia エンタープライズ 8月2日(火)11時40分配信

 人工知能(AI)は人間を単純労働から解放し、人間のポテンシャルを引き出す――。7月21日、22日に大阪で行われたNECの年次イベント、「iEXPO KANSAI 2016」の基調講演で新野隆社長はこう述べた。この2つが同社が考える、人工知能の役割(価値)だという。

【画像:ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、年間パスポートの利用者を対象に顔パスでの入場を導入している】

 同社は2015年から、AIとIoTに注力する姿勢を打ち出しており、イベント直前の7月19日に、人工知能の技術ブランド「NEC the WISE」を策定している。“賢者たち”という意味を持つこの言葉は、同社のAI関連技術群を指しており、ブランド化したのは「数々の技術はあるものの、今まで分かりやすい形でアピールできていなかった」(新野社長)ためだ。

 複雑かつ高度化する社会課題を、人間とAIが協調して解決していくにはどうするか。講演では、新野社長がブラジルの国際空港で導入された顔照合システムや、ニュージーランドのウェリントン市におけるスマートシティ実証実験、カゴメのトマト農園で使われている、生育計画から収穫量の予測まで全てを行うシミュレーションシステムなどの、代表的な事例を紹介した。

 同社は数々の技術の中でも、画像解析の技術を世界一とうたっているが、カゴメの事例についても、NECならではの技術が生きていると新野社長は強調する。

 「トマトの露地栽培というのは、天候など不確定な要素が多く、通常は人工知能での予測に向きません。仮に予測ができたとしても、数年分の膨大なデータが必要になります。しかし、NECの場合は過去データ以外の情報も活用することで、初年度から高精度な予測を実現できました。ポルトガルやオランダで、新たな農園候補の場所を探す際にも役に立っています」(新野社長)

●今、関西地区に大きなビジネスチャンスが?

 講演が行われた大阪においても、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で顔認証技術を生かした入場システムが稼働している。「年間パスポート」の利用者が“顔パス”で入場できる仕組みで、待ち時間を減らすともに30%の経費削減を実現したという。USJでは、他にも電子マネーやスマートフォンによるアトラクションの予約システムなども導入しており、新技術に対して意欲的な投資を行っている。

 近年、大阪や京都を中心とする、近畿地方全体で訪日外国人観光客が増えており、セキュリティ対策や観光客の利便性向上を目的とした、ITシステムの需要が高まっているそうだ。

 「大阪では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの他にも、大阪市交通局がクラウド型のビデオ通訳システムを導入したり、地下道に500台あまりの監視カメラを設置し、時空間データ横断プロファイリングシステムで監視システムを強化するなど、導入例が増えてきています。大阪市長の吉村氏がITを街づくりに生かそうと、さまざまな取り組みを行っているのもその一因です」(同社執行役員 営業統括ユニット西日本担当 鈴木幸司氏)

●AIを“守る”のも、AIの仕事に

 AIの活用事例は次々と出てきているが、AIが生み出す新たな価値を守るために必要なのが“セキュリティ”だという。「1カ所でもセキュリティに不備があると、AIが生み出すバリューチェーン全体が脅かされる」(新野社長)ためだ。そして、そのセキュリティを守るのもまた、AIなのだ。

 「NECは古くからセキュリティの技術開発を進めていますが、この領域でも、AIを活用した自己学習型のシステムを開発しました。通常のシステムは攻撃を受けた後、攻撃の種類を分析して対処するのですが、この技術では、システムの“正常”な状態を学習しておき、異常な動きを検知したら直ちにネットワークを遮断する仕組みを採用しています。これによって、未知の攻撃や予想外の故障にも対処できるわけです」(新野社長)

 犯罪防止やスマートシティ、農作物の需給予測など、AIやIoTといった新技術は、新たなシステムやビジネスが次々と生む可能性を持つ一方で、「AIが人間を追い越し、さまざまな仕事が無くなってしまうのではないか」と危惧する見方も根強い。しかし、新野社長は決してそんな事態にはならないと断言する。

 「AIの技術が発達しても、人間が判断する必要性は残るでしょう。芸術の活動などAIだけではできないことも多々あります。今後、AIは人の創造性や幸福感を引き出す役割を担うと考えているのです」(新野社長)

 データを可視化し、事象を予測し、制御する――人工知能の“英知”がどう人間と関わっていくのか。さまざまな実績を積み上げていくことが、社会に人工知能が真に受け入れられるカギになるのだろう。

最終更新:8月2日(火)11時40分

ITmedia エンタープライズ

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