ここから本文です

中国女子スマホの最新トレンド 「さりげない高級感」と「超高画質セルフィーカメラ」

ITmedia Mobile 8月2日(火)16時18分配信

 中国には女性ユーザーをターゲットにした「女子スマホメーカー」がいくつか存在する。本体カラーはピンクやパステル系の色でまとめ、セルフィー(自撮り)を強化するためインカメラを搭載するなど、女性が毎日使うことを考えた設計となっている。

【その他の画像】クリスタルをふんだんに使った“女子向け”デザイン

 しかし最近はiPhoneなどでもピンク系のカラーを採用しており、多くのメーカーからセルフィー強化モデルが続々と登場している。中国ではいわば全てのスマートフォンが「女子スマホ化」しているわけだ。

 では元祖「女子スマホ」メーカーたちは、どのようなモデルで他社との差別化を図ろうとしているのだろうか。MWC上海2016に出展していたSugarとMeituという、2つの女性向けスマートフォンメーカーの最新モデルからその動きを見てみよう。

●さりげなく光るクリスタルが美しいSugar

 Sugarは、ボディーに宝石をちりばめたようなスマートフォンを販売するメーカーだ。フランス・パリにも拠点を置く同社の端末は、本体の側面部分にスワロフスキーのクリスタルをずらりと配置し女性の心をくすぐっている。この手の製品としては、iPhoneなどのケースにクリスタルを並べたものも販売されているが、Sugarはそれをスマートフォン本体に直接埋め込んでいるのである。モデルごとにクリスタルの数は異なっており、製品のスペックシートには「カラット」の表記も。デザインの好みもあるので全ての女性向けとはいえないが、キラキラと光り輝く端末が好きな女性には受けているようだ。

 ところが、2016年発売の最新モデルはウリであったサイドのクリスタルを廃止。正面やサイドからみると、他社のスマートフォンとあまり見分けのつかないデザインになった。

 4月に発売された「Sugar C7」は5型HDディスプレイを搭載するミッドレンジモデル。指紋認証センサーの搭載や高速なBluetooth転送など、スマートフォンそのものの使い勝手を高めたモデルだ。カメラはリアに1300万画素、フロントは800万画素と標準的な性能だが、美顔モードを備え美しいセルフィーが撮影できる。

 一見、デザインよりも機能を重視したモデルに見えるC7だが、一部モデルの背面側がバックスキン仕上げになっており、カメラの回りにクリスタルを配置。普段使っている分には気が付かないが、写真を撮影するときにこのクリスタル部分が見え、Sugarの製品であることに気付くというわけだ。テーブルの上に本体を裏返して置いている時も、このカメラ部分とその下にプリントされた“Sugar”の文字がさりげなく目立つ。

 他のモデルも同様に、脱「全身クリスタル仕上げ」が目立つ。厚さわずか5.1mmというウルトラスリムサイズの「Sugar S」は、背面側をガラス仕上げにしたことからカメラ周りにも装飾はない。その代り本体左右のボリューム上下ボタン、電源ボタンの表面にのみクリスタル装飾を施した。Sugar Sは4.8型HDディスプレイ、アウト800万画素/イン500万画素カメラと、Sugar C7よりスペックを下げつつ、薄さを売りにターゲット層を変えたモデルとなっている。価格はどちらも1799元(約2万7700円)。

 一方、Sugar C7のディスプレイサイズを大型化した最新モデルが「Sugar F7」だ。ディスプレイは5.2型だがコストを抑えるために解像度はHDのまま。しかしメモリは4GBと増量され、カメラもリアが1600万画素、フロント1300万画素とスペックアップしている。また本体サイズがC7より若干大型化したことから、より大容量の3000mAhのバッテリーも搭載。急速充電に対応し、バッテリーが空の状態から30分間で60%の充電も可能だという。スマートフォンをより使い込むユーザー向けの製品で、価格は1999元(約3万700円)。

 Sugarのスマートフォンは2015年モデルも引き続き販売されており、クリスタルの輝きを求めるなら現行モデルも購入することも可能だ。洋服などのファッションのトレンドのように、Sugarのスマートフォンは2016年はあえて「さりげなさ」を追求したモデルとしたのだろう。

 しかも薄さや機能を売りにした3モデルの作り分けはなかなかうまい戦略だといえる。メジャーメーカーの仲間入りは果たしていないSugarだが、特徴ある製品を作り込んでいけばmいずれは世界中にファンを増やすかもしれない。

●インカメラも2100万画素! 革風仕上げて高級モデルを目指すMeitu

 アウトカメラよりもインカメラの機能をアピールしたスマートフォンを送り出しているのがMeituだ。同社はスマートフォン向けのセルフィーカメラアプリも提供しており、こと人間、いや「女性の顔を美しく撮影するノウハウに関しては他社の追従を許していない」(説明員)と自負するほどの、セルフィーカメラ機能を搭載したスマートフォンを開発している。

 上下がとがった縦長の六角形デザインは他社にはない独自のもの。だが、これはセルフィーデジカメとして中国で大人気のカシオ製カメラをインスパイアしたものだろう。

 最新モデルの「Meitu V4s」は2100万画素カメラを搭載。これはアウトカメラだけではなく、インカメラも同じものを搭載している。しかもイン側にもフォトライトを搭載。カメラモジュールはソニー製であることもアピールしており「現時点で最も美しいセルフィーを撮影できるスマートフォン」(同)とのことだ。ディスプレイは5型フルHD、チップセットはMediaTekのMT6795と、いわゆるミッドハイレンジの製品にもかかわらず、メモリは3GB、ストレージも128GBと強力だ。128GBのメモリを搭載するのは、microSDカードを使わずとも、美しいセルフィーをどんどん撮影できるようにという配慮からだろう。

 本体デザインは、六角形の形状を目立たせるよう、フレーム状の飾りをディスプレイの上下に配置。側面の金属フレームはピンク色で仕上げた。さらに背面は革風で高級感を出している。本革を使った高級版も用意されている。

 価格は標準版は3499元(約5万3800円)、高級版は4399元(約6万7600円)とハイエンドスマートフォンクラスの価格だ。先に紹介したSugarの各モデルが機能やスペックを調整しつつあえて2000元以下の価格に合わせているように、中国では多くのメーカーの製品が「1999元」を切る値付けとし、消費者に買いやすさをアピールしている。それと比べるとMeitu V4sの価格設定はかなり強気だが、他社にはない最強カメラと高級感あふれる仕上げで十分勝負できると考えているのだ。

 このMeituの「最強セルフィースマホ伝説」ともいえるようなカメラを搭載したスマートフォン、実際に現地ではどれくらい人気なのだろうか? MWC上海2016のMeituブースには、最終日にもなると他の企業の受付嬢やコンパニオンなどが続々とやってきて、フロントカメラを使ったセルフィーのテストを代わる代わる試していた。最終日ともなれば来訪者の数も少なく、休憩時間にも余裕ができるのだろう。美意識について敏感な彼女たちが次々とやってきてはセルフィーの試し撮りにいそしんでいたということは、Meitu製品のセルフィー機能がそれだけ認知されているということだろう。

 また実際にMeituのスマートフォンを持って会場内でセルフィーを撮影している女性もちらほらと見かけた。某社のブースでは、製品説明をする説明員の若い女性がちょっと時間ができるとポケットから自分のMeituのスマートフォンを取り出し、セルフィーしてはSNSで友人たちに送っていた。彼女は競合する某スマートフォンメーカーの説明員なのだが、プライベートではMeituを使っているようだ。休憩時間には他のブースにまで出向いてモデルたちとセルフィーを撮るなど、彼女のスマートフォンのカメラの使い方は100%がセルフィー。そんな女性にとって、Meituのスマートフォンは最も満足できる製品なのだろう。

 中国の女性向けスマートフォンメーカーとしてはDoovが有名な存在で、家電量販店でも自社ブースを構えるなど一時は準メジャーメーカーの仲間入りを果たした。しかし最近は新製品の発表ペースも落ち、ひと時ほどの勢いは感じられない。

 インカメラを強化するセルフィー競争のトレンドに出遅れるという戦略ミスが、ここ1~2年で失速した一因だろう。そのDoovに変わって今ではSugarとMeituが伸びているのだ。中国スマートフォンメーカーの競争はXiaomiに変わってOPPOが首位に立つなど激しさを増しているが、女性向けスマートフォンメーカー間の攻防も見逃せないものになっているのである。

最終更新:8月2日(火)16時18分

ITmedia Mobile