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<特別連載>ミャンマーのロヒンギャ問題とは何か? (9) 反イスラムの仏教寺院も 宇田有三

アジアプレス・ネットワーク 8月2日(火)10時52分配信

Q. 長期にミャンマー関わってきた経験から、ミャンマー国内でムスリムに対する差別的な言動はどのくらいあると感じますか?

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A. 上座仏教徒が人口の9割近くを占めるミャンマーだからといって、あからさまにムスリムたちが差別的な待遇を受けているという印象は受けませんでした。ただ、ムスリムが差別の対象になっているという空気は感じられました。例えば、ミャンマー族の仏教徒たちが「786」の店には入りたくない、というような場面には出くわしました。

Q. 「786」って何ですか?
A. 「786」は、『クルアーン(コーラン)の各章冒頭に置かれる「慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において」(バスマラ)を意味するそうです。ところがこれを仏教徒の一部が「『7+8+6=21』、つまり21世紀はムスリムの時代になるのだから、我々仏教徒は注意しなければならない」という誤った解釈を広げています。それに加えて、一部の過激な仏教徒の側は「969」という数字を挙げて対抗し始めています。

Q. 仏教徒側は「969」なのですか?
A. 「仏陀の9徳・仏法の6徳・僧侶の9徳」を意味する数字です。

Q 僧侶が反イスラーム運動を率いているという話も聞くのですが?
A.「マバタ」と呼ばれる一部の僧侶集団がイスラームを排斥する運動を展開しています。

ミャンマーは敬虔な上座仏教の国です。そこでは、親や僧侶、或いは年長者を敬うという強い習わしがあります。軍政はそんな人びとの篤い信仰心に報いるかのように装い、僧侶集団を優遇していました。

もっとも、上座仏教の戒律からすれば、僧侶は世俗の政(まつりごと)とは距離を置いているはずです。ところが、ここミャンマーでは、英国の植民地支配の独立闘争の勢力の一つに僧侶たちがいました。2011年の民政移管後、軍政の力が弱くなってきたのに比例して、その「マバタ」がナショナリズムを煽るようになってきました。この場合のナショナリズムというのは、国家主義・民族主義というよりも、上座仏教を強調する仏教至上主義の国家体制ということで

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最終更新:8月11日(木)23時40分

アジアプレス・ネットワーク