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Amazonが示す「単機能IoTデバイス」の意義と可能性

ReadWrite Japan 8/2(火) 22:30配信

IoTの隆盛により自動運転車から、心拍測定にクレジットカード機能までを持ったスマートウォッチ、どこからでもスマートフォンで操作できる家などが実現することになる。だが、それを手がけている企業は多くない。また、たった1つのことをやるだけの「単機能IoTデバイス」も出てきており、場合によってそれは非常に有用だ。いずれ単機能デバイスばかりになるだろうと見ている人もいる。

しかし、今日のエコシステムにおいて、単機能IoTデバイスの例を探すのは簡単ではない。

時間を知らせるだけの存在であった腕時計ですら、今ではテキストメッセージを受信したり歩数や心拍を計測したり、あなたの大好きなチームの試合中のスコアをリアルタイムで知らせたりと、驚くほどさまざまなことを行うようになっている。プログラマブルな電灯でもこれと同じことが言え、ツイートを受け取ったり自宅に近づいたら点灯させるように設計することができる。


■AmazonのDashボタン

こうしたカテゴリで代表的なものは、『Amazon Dashボタン』だろう。一見しただけではその真価はわからない。なにかの冗談じゃないかと思ってしまうほどである。場所に縛られることなくボタン1つで商品を注文できるなんて、Amazonはとんでもないアイデアを生み出したものだ。

◇Amazon Dash Button
https://youtu.be/EHMXXOB6qPA

4.99ドルで購入できるこのボタンがすることは至ってシンプルである。ボタンを押せばAmazonへの注文が完了するのだ。さらに、Amazonプライムに加入していれば、デバイスを通した最初の注文で4.99ドルのキャッシュバックを得ることができる。あなたがちょうど消耗品や常備している食料などを補充するつもりであれば、このボタンは事実上無料ということになる。

だが実際、お気に入りの洗剤を補充するためだけのボタンを家に置いておきたいものだろうか? ただAmazonに発注するだけのボタンを、キャビネットや家電の側に置いておきたいものだろうか?


■便利なケース

この手のデバイスについて議論があるとすれば、その「利便性」についてだろう。ある特定の商品を不定期にAmazonで購入している場合、このボタンが目に入ることでその商品の注文を思い出させてくれるという利便性が生まれる。

わざわざ携帯を取り出して洗剤をショッピングカートに入れる代わりにボタンをワンプッシュすればいい、というのは想像する限りとても便利であり、それだけにそれを買う頻度も増えることだろう。

また、Amazonにとってのこのボタンは、大きな存在価値のあるものだろう。このボタンの登場により、コンシューマがある特定の商品を買うための選択肢に、”家から出て車を運転する”他に、”家のどこかでこのボタンをワンプッシュ(してAmazonに注文)する”というものが追加されたのだ。たとえば、誰かが『Play-Dohボタン』を家に持ち込めば、それ以降Play-Dohの調達先がずっとAmazonになることは間違いないだろう。

こういったDashボタンのような単目的デバイスは、コンシューマに利便性を提供すると同時に売り手側にとっての利益をも生むものだ。


■単目的IoTデバイスとセキュリティ

当たり前のことだが、IoTデバイスがネットワークに登場するたびにセキュリティに関する懸念は積もっていく。新しいシステムがネットワークに加わるのに比例して、あなたがさまざまな侵入を受ける懸念も増大するためだ。

だが、このDashボタンについては大きな問題にならないと考えている。というのも、このデバイスがすることは、”低出力WiFiを通じてAmazonに情報を送る”だけであり、それ以外は何もしないからだ。ボタンを押された時だけ起動してわずかな情報を送り、それが受信されたという確認を受け取るだけである。そして、電源が再び付くのは、次にボタンが押されたときだ。

Amazon Dashボタンにおいては、開放されているポートによる双方向通信を通じて誰かが自宅に侵入するといった懸念は、中身のプログラムが書き換わらない限り大きな問題に発展しないだろう。なぜなら、複雑なコマンドの実行や周りのデバイスとの通信などを行わず、信号をAmazonに送るためだけに存在しているためだ。


■Dashボタンの可能性

Dashボタンのコンセプトが、家中のブラインドを開ける、電灯のモードを変える、テレビや音響をオンにするなどにも適していることは明らかだ。これこそ、いわゆるIoTボタンが日常的にどう使われるか、ということを示すものだろう。

開発者がこのボタンのコンセプトをもっと有用なことに転用できる機会を与えるというのも、Amazonがボタンをリリースした理由の1つだ。このボタンは自動車のエンジンスタートやコーヒーメーカー、電灯の電源を入れることに利用できるようになるだろう。

このデバイスの真の価値とは、そのポテンシャルである。これ1つで注文が完了するのもいいが、さらに”意味のある”ことに使えるとしたらどうだろう? そうならない理由はない。

ボタンひとつで消耗品やNerfダーツを買えるギミックというアイデアで、Amazonは「ネットワークにつながった単目的デバイスの有用性」というコンセプトを作り上げた。それ自体は革命的なデバイスではないかもしれないが、開発者がシンプルな製品を考えるうえで、このコンセプトは後々影響を与えることになるだろう。

ReadWrite[日本版]編集部

最終更新:8/2(火) 22:30

ReadWrite Japan

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