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【千葉魂】 信念貫きブルペン支え続ける 益田、通算100ホールド達成

千葉日報オンライン 8月2日(火)11時15分配信

 「行くぞ!」。歴戦の投手となった今でも、ブルペンの電話が鳴りコーチから声がかかると緊張する。7月23日、杜の都・仙台でのイーグルス戦。益田直也投手は4番手として八回からマウンドに上がった。この試合で41試合目の登板。1回を無失点に抑え、通算100ホールドを達成した。1年目から72試合に登板した若者はプロ5年目で大台に到達した。

 「積み重ねてきた結果なので、うれしいです。これからまた積み重ねていきたい」

 背番号「52」はそう控えめなコメントでここまでの日々を振り返った。自ら運命を切り開いて、ここまで来た。ドラフト4位で入団した1年目のキャンプ。ブルペンでの投げっぷりの良さが当時の西本聖投手コーチの目に留まった。「オイ、新人。セットアッパーでもいいけど、先発でも10勝できるぞ。どっちがやりたい?」。魅力的な話だったが、キッパリと断った。プロ入りする前から冷静に自己分析。「球種も少ないし、短いイニングの方が自分は力を発揮できると思っていた」とセットアッパー志願でプロの門をたたいた。コーチの高評価はありがたかったが、自分の信念を貫いた結果、今がある。先発は一度もせずにセットアッパー、ストッパーとマリーンズのブルペンを支え続けている。

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 毎試合、試合途中にブルペンに向い、まずは体を温める。緊張する心をほぐし、肩をつくりながら出番を待つ。最初はいつか慣れると思っていた。が、何年やっても、この独特の緊張感から解き放たれることはない。

 「たぶん引退するまでそれは変わらないと思います。手応えもないです。必死にやるだけ。手応えとかそういうのは本当に引退をして成績を振り返った時に湧き上がってくるものなのかもしれない。毎日、必死です」

 ブルペン陣のプレッシャーは並大抵ではない。先発投手の勝ち、チームの大事な勝利。記録の勝利をかけてマウンドに導かれる。益田には忘れられない試合がある。2013年7月26日、首位攻防で迎えた仙台でのイーグル戦。日米通算2千本安打に井口資仁内野手が王手をかけて迎えた試合だ。その井口が、それまで13勝負け無しの無敗記録を続ける田中将大投手から左翼へのメモリアル本塁打を放ち、勝ち越し。1点リードのまま最終回を迎え、マウンドを託された。しかし結果は被安打2、3四球で2失点。サヨナラ負けを喫した。マウンドでうなだれた。頭の中は真っ白になった。

 「井口さんの2千本安打。相手投手の連勝記録のストップ。首位攻防。あれは絶対に落としてはいけない大事な試合でした。地獄のようだった。あの日の事は鮮明に覚えている。切り替えることはできなかったですね」

 試合後、ロッカーに戻り、記録の試合をつぶしたことを井口に謝った。「それはいい。気にするな」。笑顔で返してくれたが、心の痛みは消えることは決してなかった。寝れない夜を過ごした。これまで幾多の大ピンチを切り抜けてきた。しかし、後ろを任される投手はそんな成功の余韻は残らないが、失敗した痛みはいつまでも消えることはない。今でも益田はイーグルス戦のたびにあの試合の残像を思い出す。そして二度と同じような悔しい思いをしたくないと気持ちを入れる。そうやって毎試合、ブルペンで肩をつくり、戦況を見守り、電話で呼び出されればマウンドに上がる。セットアッパーとはなんとも酷な仕事だ。

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 極度のプレッシャーの日々の中で支えは家族の存在がある。2歳になる息子は野球に興味を持つようになった。自宅に戻るとゴムボールで野球ごっこをする。益田がピッチャーで子供がバッター。「よく試合を見ているからモノマネをするんですよ。角中さんのマネなんて追い込まれたら足を広げて、ノーステップ打法になる。かわいいですよ」。そう言って息子の話をする時、その表情は和らぐ。大きな当たりを打つと、「益田選手、ホームランです」と息子は自分でアナウンスをしてダイヤモンドを一周するふりをする。その幼気な姿を見ると不思議と極度の重圧から解放され、「この子が大きくなって、野球が本当に分かるようになるまで頑張らないといけない」と心に誓う。

 チーム4連敗で迎えた7月31日のイーグルス戦(QVCマリン)。抑えの西野勇士投手が右肘痛で離脱するという非常事態の中で益田は最後のマウンドを託された。鬼気迫る表情で魂のストレートを投じた。そして三者凡退に仕留めると夜空に向って大きくほえた。ブルペン一筋で生きることを決めた男の意地の投球だった。いまだ、悪夢として思い出すイーグルス相手に、魂のピッチングを見せ、苦しかった連敗は止まった。マリーンズには益田がいる。蒸し暑い真夏の夜。3万人を超すファンに強く印象付けたゲームだった。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:8月2日(火)11時15分

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