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浄化でアユ遡上か…川口の緑川、夢の復活 子どもの網にオイカワも

埼玉新聞 8月2日(火)10時31分配信

 埼玉県川口市前川地区を流れる緑川で7月31日、川の清掃に取り組む市民団体「緑川を豊かな環境にする会」(田中信重会長)が、生き物を調べる「川ガキ体験」を行い、アユとオイカワが見つかった。同市立前川小3年生、江口太玖斗君(8)のたも網にアユが飛び込んだ。江口君は「すごく速く泳いでいたので、パパと挟みうちにした。きれいな魚だなと思った」と話した。
 
 自然保護に取り組む「荒川夢クラブ」代表で県生態系保護協会戸田支部長の石本誠さん(66)の網にもアユとオイカワが入った。アユは1年で一生を終えるが、オイカワは数年は生きる。ともに清流の魚で石本さんは「感激だ」と語った。
 
 緑川は元は農業用水だったが、高度成長期に汚れた。しかし、公共下水道の整備と市民の浄化運動などにより、最近は透明度が増している。25年間、川べりの清掃活動を続けてきた同会の会長、田中信重さん(81)は「子どもたちのためにアユが住める川にというのが夢だった。本当にうれしい」と話した。
 
 現場は緑川が堅川に合流する地点から上流へ約1キロ、前川小の近くの三枚橋の下。前川で生まれ育った林崎武夫さん(79)によると、戦前はこの川を見沼用水と呼び、流域の六つの村の農家が田植えの時期になると水中の藻を刈りにきたという。見沼代用水の支流で、六カ村用水とも呼ばれた。
 
 林崎さんは「子どものころは水がきれいで、ここで泳いだ。ちょうど戦争中で、米軍戦闘機の機銃掃射を受けて、逃げたが、土手に置いた着物が穴だらけになったことがある」と思い出を話す。
 
 アユについて県環境科学国際センター自然環境担当主任専門員の金沢光さん(62)は「上流には水門などの施設がある。下流は堅川から新芝川を経て荒川本流につながっている。東京湾から荒川を経由して遡上(そじょう)した以外に考えられない」と指摘する。
 
 金沢さんと市内の教師らの市民団体の調査で6月、芝川の通船堀に流れ込む農業用水でアユ8尾が見つかった。
 
 奥ノ木信夫市長は「アユ発見」のニュースに「アユがすめるほど水がきれいになった大きな証し。県や市民と一緒に水のさらなる浄化に努めたい。市もできることは何でもやる」と喜びを語った。

最終更新:8月2日(火)10時31分

埼玉新聞