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なぜ、あえて事実婚を選択する人が増えているのか?

ZUU online 8/3(水) 6:10配信

「事実婚」って聞いたことがありますか?

実はわたし、ファイナンシャル・プランナーというお金や生き方にかかわるアドバイスをするとともに、プライベートでは、事実婚をしています。

わたしが事実婚であることを伝えると、男性は聞いてはいけないことを聞いたようにちょっと遠慮気味で事実婚について質問されるのですが、女性は、積極的に事実婚がどういうものなのかをどんどん聞いてきます。

特に、一度結婚された女性、つまり、現在結婚生活が続いている人も、離婚を経験した人も、事実婚というのは新たな選択肢にあたるようで、興味津々です。

そこでこちらの連載では、事実婚にまつわるメリットやデメリット、そして、デメリットの対策についてお伝えしていきたいと思います。

■「事実婚」と「法律婚」の違いって?

あらためて「事実婚」について説明すると、事実婚とは、入籍していないけれど夫婦として暮らしている男女のことを言います。

事実婚と法律婚の違いは、入籍をするか、しないか、という一点のみ。事実婚の夫婦にも法律婚と同じ権利と義務が発生します。

夫婦の主な権利と義務とは、

夫婦の貞操義務
夫婦の同居、協力、扶助の義務
婚姻費用(生活費や子どもの養育費)の分担義務

などです。

■「同居」「同棲」と「事実婚」は何が違うの?

一方、「同居」や「同棲」と「事実婚」の大きな違いは「お互いに婚姻の意思があるかどうか」です。

「婚姻の意思」といっても、気持ちや考えは目に見えないので、具体的には、親や親戚、職場などから夫婦として扱われているかどうか、一緒に暮らしているか、家計を二人でやりくりしているか……というような実態で判断されます。

「婚姻の意思」の上にさらに「実態で判断」と言われても、実態って、なかなかわかりにくいですよね? そこで、その実態を公的に証明するための方法があるのです。それが「住民票」です。

■事実婚は証明できる

事実婚の場合、住民票の「続柄欄」に「夫(未届)」、「妻(未届)」と記載することができます。「妻(未届)」と届け出ておくと、職場の扶養確認の際や、生命保険の保険金受取人の指定の際など、事実婚の証明が必要な場合にスムーズです。

ただし、残念ながら自治体の窓口によっては「なんですか、ソレ?」的な扱いを受けることがあります。実際に私もそういう対応をされたことがあり、「ちゃんと規定があるので、調べてください!」と言って、記載をしてもらいました。

現在は「住民基本台帳事務処理要領」という行政のマニュアルに、事実婚の記載方法について規定がきちんと載っているので、自治体の窓口担当者にも周知徹底されているはずですが、もしもご存じない担当者の場合は、確認してもらいましょう。

■あえて事実婚を選択する理由

入籍以外の点においては、事実婚も法律婚も大差ないのに、それでも、事実婚を選択する人が増えているのはなぜでしょう?

筆者が思うに、最大のメリットは、姓を変更しなくて良いことです。

日本では、結婚により97%以上の女性が男性の姓に変わっているのが現状です。改姓により結婚も離婚も本人の意思によらずオープンにされますが、事実婚なら姓は変わらないので、本人の希望によって、オープンにもできるし、しないことも選択できるのです。

具体的には、事実婚は次のような事務手続きから解放されます。

戸籍の届出
印鑑の作成
銀行や証券会社などの金融機関の氏名変更、キャッシュカードの変更手続き
保険の契約者、被保険者の姓の変更、受取人の変更
パスポートの変更
保有資格の変更
自動車免許など、各種免許の変更
クレジットカードの変更
携帯電話の名義変更
健康保険、厚生年金などの氏名変更
職場や友人などへの姓の変更・結婚報告

余談ですが、離婚経験者が事実婚という選択肢を知ると、「もしも次に結婚することになったら、事実婚にする!」とおっしゃいます。それは、結婚でこれらの手続きをして、さらに離婚のときにももう一度行う……という労力と気力の大変さ、さらには、結婚や離婚という極めてプライベートなことをいろんな場面でオープンにしなければならないことからあるようです。

■わたしが事実婚を選んだキッカケ

ちなみに、わたし自身は、「誰と共に生きていくのか、ということは、きわめてプライベートなことだから、国に届け出なくても良いのでは?」という考えが根底にありました。

事実婚を知ったのは大学生の頃ですが、もともと結婚願望がなかった私は、「名より実を取る」という方法のほうが自分に合っているような気がしました。婚姻届を出しても、離婚する夫婦は離婚する。それなら、婚姻届を出したからという理由で縛られた結婚生活を続けるような夫婦にはなりたくなかったのです。

ただ、ちゃっかりしている私は、入籍をしないことでどのようなことでメリットがあり、デメリットがあるのかも調べました。そして、実際に事実婚をしたのが26歳の時だったのです。

■事実婚で困ったことはありません

事実婚でも人前結婚式もしましたし、披露宴も行って、新婚旅行も行きました。家も共有名義で買いましたし、もしもの時の保険の受取人にもなっています。表札に苗字が二つ並んだ我が家ですが、ご近所さんとも仲良しです。事実婚ですが、日常生活の中で困ったことはないのです。

わたしには事実婚が合っているからと言って、入籍を否定したり、ことさら事実婚を進めるつもりはありません。ただ、ファイナンシャル・プランナーの同業者の中には、事実婚をしている人は他にもいますし、今後は事実婚という選択肢が増えていくでしょう。

『事実婚っていう選択肢があるの?』と興味を持ってくれた方には、事実婚のメリット・デメリット、そしてその対策を知ったうえで、結婚の形を選択していただければと思っているのです。

次回は、事実婚の妻が夫の扶養に入れるのか、保険会社の保険金受取人になれるのか、など社会保険と民間の保険についてお伝えします。

前野 彩
元保健室の先生という異色の経歴を持つファイナンシャル・プランナー。「気持ち」を大事にする相談が好評で、年間300件超の依頼を受ける。著書『本気で家計を変えたいあなたへ』他。株式会社Cras代表取締役。FPオフィス will http://www.fp-will.jp/

(提供:DAILY ANDS)

最終更新:8/3(水) 6:10

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