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従来の10億分の1のエネルギーで動く分子センサーを開発

MONOist 8月3日(水)8時55分配信

 九州大学は2016年7月20日、従来の10億分の1のエネルギー(pJ:ピコジュール)で駆動する分子センサーを世界に先駆けて開発したと発表した。同大学先導物質化学研究所の柳田剛教授らと、慶應義塾大学理工学部の内田建教授の共同研究グループによるもので、成果は同月19日に米化学会誌「ACS Sensors」に掲載された。

 現在のモバイル機器では、温度、位置、動きなどの物理的なデータは収集できているが、今後は健康に関連した多種多様な化学物質に関するデータを電子デバイスで収集する、新しいセンサーエレクトロニクスが重要になるという。しかし、従来、化学物質を電気的に検出する一般的なガスセンサーは、極めて大きな消費エネルギー(~mJ:ミリジュール)が必要となるため、モバイル機器への展開は困難だった。そのため、超低消費エネルギーかつ高感度な化学分子センサーの開発が強く望まれていた。

 同研究グループは、まず、低消費エネルギーへのアプローチとして、ナノスケール領域における熱を時間・空間的に制御するという新しい概念をナノ分子センサーに導入した。これにより、世界最小値であるピコジュール程度の消費エネルギー(従来技術の10億分の1)で100ppbのNOx分子を電流検知可能な分子センサーの開発に成功した。

 また、センサーの高感度化アプローチとして、パルス自己加熱法を利用した。これにより、従来の連続加熱法よりもセンサー感度が向上することを見いだした。

 さらにこの手法では、所定のナノサイズ空間だけにピンポイントで加熱することが可能なため、従来技術では適用が困難であった、温度に弱いプラスチック基板上にも分子センサーが搭載できることを実証した。

 この分子センサーデバイスは、健康に関連した揮発性化学物質を、従来のように検査装置がある場所に行くことなく、身の回りのモバイル機器で簡便かつ高感度に検知する新しい技術へと発展することが期待される。具体的には、危険物質の検出や肺がんマーカー分子などの電流検出への展開を見据えているという。さらに、集めた化学物質のデータをビッグデータとして活用する新しいビジネス展開も想定されるとしている。

最終更新:8月3日(水)8時55分

MONOist

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