ここから本文です

【オーストラリア】【特別インタビュー】積水ハウスの豪投資額、20億$突破:阿部亨・豪法人社長に聞く

NNA 8月3日(水)8時30分配信

 資源投資ブーム以後のオーストラリア経済をけん引する住宅産業で、日本から進出している積水ハウスの事業が注目されている。オーストラリア市場でどのような事業を行い、日本企業としての強みをどのように発揮しているのか、積水ハウス・オーストラリアの阿部亨社長に聞いた。【NNA豪州編集部】
 ――こちらではどのような事業を行っていますか
 2009年に現地法人を立ち上げて以来、ニューサウスウェールズ(NSW)州とクイーンズランド(QLD)州で、分譲マンション、大型宅地分譲、商業施設等を含む複合開発などの開発事業と、日本で当社が供給してきた木造住宅「シャーウッド」の建売事業を行っています。これまで合計で約8,500組のお客様からご契約頂き、約6,500組に物件の引き渡しを行ってきました。また、オーストラリアでの総投資額は20億豪ドル(約1,542億円)を超えています。
 当社は12月期決算で、今年の売上高は約6億豪ドルの見通しです。開発事業の特性上、年度により多少の波はありますが、中長期的に見ると安定した事業計画が見込めるようになってきました。
 ――顧客の傾向はどうですか
 中国系など海外からの投資目的の購入は、郊外よりも都市部、戸建てよりも集合住宅で多く、全体の30%~35%です。当社の物件ではセントラルパーク(チッペンデール)やジ・アドレス(ウェントワースポイント)のアパートでは投資目的のお客様が多いですね。
 一方、シドニー中央ビジネス区(CBD)から約50キロメートル南西に位置するザ・ヘリミテージでは、自分で住むために購入しているお客様が8割強というところです。ですので、そのエリアについては外国人投資に不利になる規制の動きが出てきている中でも、大きな影響を受けることはないと思っています。
 ――オーストラリアの住宅市場や顧客の傾向は日本と比べてどうでしょう?
 過去30年ずっと住宅市場が右肩上がりで、人口も増え、住宅・不動産はトレンドとしては供給不足が続き、不動産価格が上昇を続けています。これは当社が進出してきた大きな理由のひとつです。
 オーストラリアでは、住宅購入者の平均買い替えサイクルが7~8年と、住宅購入を一生の買い物と考える日本人ほどの思い入れはなく、ご自身で住む場合でも投資の意味合いが大きいようです。こちらでは、子どもが独立し夫婦2人になり、最終的に住宅を手放してダウンサイジングすることが多いようですが、市場が右肩上がりなら、ダウンサイズの際に手元に老後の資金としてお金が残るというように、人生設計の中に住宅購入が位置付けられています。
 
 ――不動産価格が上がり続けています。日本が経験した不動産バブルの崩壊はあるでしょうか
 メルボルンもそうですが、シドニーもこの2年間に不動産価格が20%以上上がっています。必ずどこかで調整局面が来るという意識を持ち、用地取得時は将来にわたって価値の下がりにくいであろう物件の選択を慎重に考えてきました。
 (不動産バブルについて)希望は、ソフトランディングです。急速かつ継続的な価格上昇が続くことはありえません。一回調整が入っても、そこから安定してくれればいいと思います。
 ――政府への要望はありますか?
 住宅の買いやすさを刺激する政策に期待したいです。例えば、ニューサウスウェールズ州では2009~11年に行われた初回住宅購入者に対するインセンティブでは、60万豪ドル以下の新築物件で初回住宅購入者に限り2万ドルの補助金が出ました。また、インフラ整備を促進していただかないと新しい住宅地開発もできません。
 ――日本の住宅開発企業としての強みは何でしょうか?
 日本的なサービスは強みのひとつと考えていいます。日本と同じサービスを提供してもオーストラリアのお客様が全て気持ちよく受け止めてくれるとは限りませんので、バランスを取りながらやっています。サービスはフォローアップとともに、初期対応が重要だと思っています。「契約したら終わり」ではなく、契約した後から引き渡しまで、引き渡し後も大切です。初期の不具合やクレームは当社でも発生しており、いかに対応できるかです。そうした点では、日本企業としてオーストラリアの方々から、非常にポジティブに受け入れられていると思います。
 ただ、販売する商品はオーストラリアで建設している住宅で、かつ何十万豪ドルもする高額なものです。また、契約いただいてからお住まいになってレスポンスをいただくまで最低1年はかかります。そうした状況で、どこが満足でどこが不満なのか、できるかぎり拾い上げていって、次にどうすべきかを検討していくことを全事業にわたって、これから本格的にやっていきたいと思っています。
 ――ほかにどのようなアピール点がありますか
 商品提案力、デザイン力、プラン力です。オーストラリアはもともと、一世帯あたりの居住面積が大きかったのですが、この5年間くらいで不動産価格の高騰により絶対価格を下げるため、住宅の面積が小さくなっています。
 一方の日本は居住面積がもともと小さく、平均するとオーストラリアの約半分ほどです。広さが限られている中で、収納や生活動線を考えてプランニングしているのが、日本のデベロッパーでありハウスメーカーです。その経験がオーストラリアで少しずつですが生かしていけるようになっています。
 すべての商品を日本人が設計している訳ではありませんが、例えばマンションでは一番最初に分譲した物件から継続して日本人設計士がプランをすべてレビューしていますし、戸建て住宅商品では日本人がゼロから設計しています。2009年からオーストラリアのプロと一緒に文化・住まい方・住まいに求められるものなどを研究してきたことと日本人の知恵とが融合したものが提供できるようになってきました。
 ――事業の目標は?
 オーストラリアの市場で総合住宅会社として根付いていくことです。当社は投資ではなく自ら「事業」をするためにオーストラリアに進出しました。マーケットが良ければ継続し、悪くなれば撤退するということではありません。市場の良いときも悪いときも、より良い商品とより良いサービスを提供することで、オーストラリアで成長し、一人でも多くのお客様に積水ハウスの住宅にすみたいと思っていただけることを最大の目標にしています。(聞き手・小坂恵敬)

最終更新:8月3日(水)8時30分

NNA

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。