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メガバンクの米ドル建「外貨定期預金」がお得な理由

ZUU online 8月3日(水)17時10分配信

枝豆、オクラ、かぼちゃ……旬の食材は美味しいだけでなく、身体にも良いとされている。

金融商品にも旬があるのをご存知だろうか。IT、ヘルスケア、バイオ、ロボットといった「テーマ型投信」はある意味、旬のものと言えるだろう。そして、いま私が考える旬の金融商品が「メガバンクの外貨預金」である。

■メガバンクの外貨預金が美味しい

メガバンクのWebサイトを見てみよう。そこには「米ドルキャンペーン」として、外貨定期預金の金利が1年で1.0%と提示されている。しかも、預入時の為替手数料は0円だという。

1年で1.0%の金利が、どれだけ美味しいかピンと来ない人もいるだろう。現在メガバンクの定期預金金利は期間・金利を問わず0.01%だ。もう少しリスクを取って個人向け国債を購入したとしても、期間を問わず利率は0.05%でしかない。

■米ドル建て債券と比較しても優位性高い

外貨預金には為替変動リスクがある。またペイオフ対象外であり、円建ての金融商品と単純に比較するのはフェアとは言えない。

そこで米ドル建ての債券と比較してみよう。あなたが証券会社で米国債を購入しようとすれば、購入時には円を米ドルに交換し、売却時には米ドルを円に交換する必要がある。証券会社によって手数料はまちまちだが、おおむね片道で1ドル当たり50銭が必要だ。前述のメガバンクのキャンペーンはこの点でも優位である。

また、途中解約の可能性についても考慮する必要がある。たとえば、円安が進行すれば、為替差益を得るために途中解約を検討する場面もあるだろう。外貨預金は、途中解約したとしても米ドルベースで元本割れすることはない。

しかし、米ドル建ての債券ではそうはいかない。為替が円安に動いたので、途中解約しても利益を出せるとは限らない。米金利が上昇すれば、為替がドル高(円安)となる一方で、債券価格が下落することにもなりかねないからだ。米国の利上げがマーケットで大きな注目を集めている現在、米金利上昇(債券価格の下落)は差し迫ったリスクと考えられる。

以上が、私が考えるメガバンクの外貨預金が「美味しい理由」である。

■マーケットの混乱がドル不足を助長する

では、メガバンクの米ドル建て外貨定期預金の金利が高いのはなぜか。その背景には、世界の金融市場でドル不足が強まっていることが指摘できる。英国のEU離脱騒動もドル不足に拍車をかけている。世界中の金融機関が信用力のあるドルを確保しようと動いているのだ。

日本でもマイナス金利政策の影響で運用難にあえぐ保険会社などの機関投資家や個人投資家が積極的に外貨建資産での運用を増やしている。

英国やEUの金融機関はポンドからユーロ、さらにドルへと資金を退避させている。国際的な金融規制の強化により、米国の銀行も新興国や高金利通貨で運用することにリスクを感じ始めている。その結果として、金融市場に出回るドルが減少しているのだ。

需要が増加しているドルを調達するために、日本のメガバンクは上乗せ金利を求められる。6月には、3カ月の取引で邦銀が米銀に支払う上乗せ金利は一時0.8%に跳ね上がった。どうにかしてドルを確保したい。それがメガバンクの本音と考えられる。ドル調達コストが高止まりしているいま、外貨預金は賢明な選択肢の一つと考えられる。

■なぜ、美味しいのか? 試しに聞いてみるといい

美味しいものには毒がある。金融商品の毒とはリスクだ。銀行員やFPは本来、どんな金融商品に、どのような毒が隠されているのかを、正しくアドバイスすることを求められるが、実際のところはどうだろうか。

たとえば、テーマ型投信は美味しい、旬の金融商品とされていた時期もある。しかし、ITやヘルスケア関連の投信を勧められたが、散々な目にあった投資家は少なくないはずだ。

旬の金融商品は金融機関にとって販売しやすい。新聞やマネー誌にも頻繁に取り上げられるようになる。その時にはすでに相場は天井を付けていることが往々にしてある。

一見美味しそうな外貨預金にも当然リスクはある。為替リスクのある他の金融商品と比較して優位性があるのは事実であるが、それでもリスクが消えるわけではない。当面はマーケットのドル不足が解消するとは思えないが、いつまでも現在の環境が続く保証はない。そうなれば、メガバンクも現在のような好条件を提示してくれないだろう。

繰り返すが、美味しい金融商品には「必ず毒がある」ということを忘れてはならない。なぜ、美味しいのか。試しに金融機関の担当者に聞いてみるといい。その質問に答えられない担当者からは、金融商品を購入すべきではないだろう。(或る銀行員)

最終更新:8月3日(水)17時10分

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