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最大限に引き出すには思考のシンプル化

ITmedia ビジネスオンライン 8月3日(水)8時1分配信

 ITmedia エグゼクティブ勉強会に、コンパス代表取締役で「思考の整理家」の鈴木進介氏が登場。著書である「問題解決のためのセパレート思考(フォレスト出版)」に基づき、「なぜ一流の人はシンプル思考なのか?」をテーマにワークショップを交えて話をした。

 「ビジネスパーソンやアスリートなどの超一流といわれる人は、シンプルに物事を考え、最大の成果を上げている。一方、非常に優秀で、頭が良く、経歴や実績があるにもかかわらず、最大限に能力を発揮できない人や企業も多い。理由は、考えすぎである。思考を整理するだけで、人や企業の能力を最大限に引き出すことができる」(鈴木氏)

●「一流の人」と聞くと、どのような人をイメージするか?

 「質問に対し1つの答えを出す人は、シンプルに自信を持っている人であり成長スピードが速い。また、たくさん答えを出しても、その中からシンプルに中心軸を見つけることを意識すればよい。この質問に正解はないが、私の"一流の人"の定義は、"常に成果を出す人"である。ポイントは"常に"という枕詞である」(鈴木氏)

 職場が変わる、仕事が変わる、人事異動がある、事業が変わる、どのようなときでも成果を出し続けるのが一流の人である。それでは、どうすれば一流になれるのか。どのような思考法を持てばよいのだろうか。例えば、Googleの共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏は、「成功はシンプルから生まれる」という名言を残している。

 鈴木氏は、「Googleの創業者が、ここまで明快に言いきっているからこそ、あのスピード感で巨大企業を作れたのだと思っている。はじめてGoogleの検索サイトを見たとき、愛想のない、殺風景なサービスだと思ったが、目的は本当に必要な情報を検索することであり、ほかのニュースやコンテンツはいらないことに気がついた」と当時を振り返る。

 また、京セラの創業者である稲盛和夫氏は、「バカなやつは単純なことを複雑に考える。普通のやつは複雑なことを複雑に考える。賢いやつは複雑なことを単純に考える」と話している。鈴木氏は、「ビジネスにおいては、ものごとをシンプルに考えなさいという教訓。"あれも、これも"がんばるではなく、"あれか、これか"の判断が重要だ」と話す。

●「シンプル思考」のメリットとは?

 「シンプル化がもたらすのは、"決断力×行動力"の向上である。ものごとをシンプルにすることで決断が速くなり、適切に行動することができる。諸説あるものの、人が苦しむのは、世の中が複雑に見えるからである。世の中を複雑にしているのは、人それぞれの頭の中である」(鈴木)

 例えば、「なぜ、あいつはいうことを聞かないのか」など、人間関係の悩みは多い。しかし、「そもそも人は話を聞くのが嫌いである」と割り切り、その上で何ができるかを考えればよい。「動いてくれるはず」という前提で考えると、ストレスがたまることになる。目標やビジネス、健康面においても同様である。

 「独立した当初、苦しい時代は複雑思考であった。飛躍することができたのは、シンプル思考に進化したときだった。常にシンプル化を意識しておかなければ、頭の中はどんどん複雑化する。そこで1日に1度でも、週に1度でも、頭の中をシンプル化する"自分会議"を開催することが効果的である」(鈴木氏)

●自分を変える3つの鍵とは

 自分を変えるためには、「思考」の使い方を変える、「時間」のとらえ方を変える、「お金」のとらえ方を変えるという3つの鍵が必要になる。鈴木氏は、「当たり前のことだが、同じことを、同じやり方でやっていたら、同じ成果しか期待できない。これまでとは異なること、異なったやり方に変えなければ、新たな効果は期待できない」と語る。

 思考、時間、お金の3つの変化で定義すれば、自分や会社を変えるターニングポイントを意図的に作り出すことができる。余談だが、ものごとは3つに分類すると整理がしやすくなる。例えば信号では「赤、黄、青」、食べ物では「松、竹、梅」、ビジネスでは「プランA、プランB、プランC」など。3つの中からもっとも重要な1つを選べばよい。

 「思考」の使い方を変えるためには、自分に質問をすることだ。そのための質問項目を頭の中にインストールする。例えば、「結果を出すために、いま何をすべきか?」「結果を出すために大切なことは何か?」などである。しかし問題が。人は時間が経つと自分に質問することを忘れてしまう。そこで重要になるのが自分会議である。

 また仕組みづくり、道具選びも重要。円を等分したグラフを使い、それぞれに「目標」や「変化を起こしたい項目」を書き出し、もっとも重要な分野は何か、それぞれの分野に対し100点満点で何点になるかを考え、レーダーチャートを作ることで、自分の思考を容易に視覚化できる。

 「道具により、いま本当に集中すべきことに集中しているかをセルフチェックすることができる。頭の中に質問をインストールするのは、頭の中にコーチを雇う、セルフコーチングだと思えば分かりやすい。単に頭の中だけで考えるのではなく、グラフ化したり、手帳を使ったり、道具を使うことが有効になる」(鈴木氏)

 また、いきなり絞り込むのが難しい場合には、大きなかたまりを「仕分け」することから始めてみる。可燃ごみと不燃ごみ、夏服と冬服など、生活の中で仕分けすることは多い。それでは、頭の中は仕分けしているだろうか。「頭の中の仕分けは、基準となる軸さえ持っていれば、それほど難しいことではない」と鈴木氏。

 頭の中の仕分けの軸とは、「重要なものと重要ではないもの」「変えられるものと変えられないもの」「自分でやるものと他人の力を借りるもの」などである。元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜氏は、「コントロールできないことは考えない。コントロールできることに注力する」と語っている。

●「時間」と「お金」のとらえ方を変える

 「時間」のとらえ方を変えるためには、「いま」に集中することである。過去は帰ってこない。一方、未来は不確実である。そこで"いま"に集中することだ。また"いま"のタイミングが是か非かを判断することも重要になる。これは、天職の発見でも、人間関係の構築でも、新商品の発売でも同じである。

 一方、「お金」のとらえ方を変えるためには、出資に関する決断を即断即決することである。鈴木氏は、「無意味なコストパフォーマンスを考えないこと。現在のコストパフォーマンスは、9割がコスト削減に注力している。本来であれば、パフォーマンスに注力すべき」と話す。

 鈴木氏は、「シンプル思考の3原則は、思考の使い方を変え、時間とお金のとらえ方を変えることである。また、常に振り返りの時間を持ち、頭の中を仕分けすることで、思考をシンプル化できる。シンプル化により、ビジネスにおけるすべての問題を解決できる」と話し講演を終えた。
(山下竜大)
(ITmedia エグゼクティブ)

最終更新:8月3日(水)8時1分

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