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生花 病院持ち込みOK 感染リスクより 安らぎ効果重視

日本農業新聞 8/3(水) 7:00配信

 感染症予防を理由に生花の持ち込みを禁止する病院が多い中、「感染の可能性はほとんどない」として、生花を再び病院に取り入れようという動きが出てきた。院内の共有スペースに生花を飾ったり、院内に生花店を誘致したりと、花の持つ癒やし効果に着目した多彩な取り組みが始まっている。

10年ぶり方針転換 随所にアレンジ花 静岡市立静岡病院

 10年前から生花の持ち込みを禁止してきた静岡市立静岡病院が今春、方針を変えた。受付や談話室など共有スペース33カ所に生花のアレンジメントを飾るようになった。

 きっかけは3月、花き業者と医療関係者ら200人以上を集めたシンポジウム「病院にふたたび花を」の開催だった。感染治療学の専門家の講演を聴き、「生花が原因として菌の感染が拡大する危険性よりも、患者に与えるリラックス効果の方が絶大と判断した」(同病院)。再び花を飾るようになったことで「病院に花があった頃を覚えている年配者には特に好評だ」と宮下正院長は受け止める。

 5月には同病院と静岡デザイン専門学校、するが花き卸売市場で「SHIZUBYOU(しずびょう) 花パートナーシップ協定」を締結。院内で式典やイベントがあるときは、同校フラワーデザイン科の生徒が作品を展示する。

 宮下院長は、病床への持ち込みについても「誰が生花を管理するかを踏まえて、前向きに検討したい」と意欲的だ。

小売店を誘致 患者にも好評 千葉・亀田総合病院

 院内のロビーに生花店を誘致した病院もある。千葉県鴨川市の亀田総合病院だ。店内の通路は車椅子に乗っていても楽に通れるように広く取って、花の陳列も低く設置した。売り上げの7割は自宅用、3割が見舞いだ。

 「花があることで来院者や病院の職員に喜ばれている。これまで院内感染への不安を聞いたことはない」と、出店する青山フラワーマーケット鴨川・亀田メディカルセンター店を運営するパーク・コーポレーションの拝野多美さんは話す。

撤去でなく管理を徹底 長野・佐久総合病院

 「生花が感染のリスクを高める科学的根拠はない」として1945年から一貫して花を飾り続けるのは、JA長野厚生連佐久総合病院(長野県佐久市)。伊澤敏院長は「常在菌を恐れて院内中から花という安らぎを撤去するのではなく、花の管理を徹底すればいいことだ」と主張。血液疾患などの病棟を除き、今後も「院内全体を生花で満たす」と宣言する。

 花を生けるのは、同病院労働組合の華道班の女性9人。毎週、病院玄関や受付、人間ドック棟の廊下など共有スペース11カ所に生け花を飾る。鷹野邦一総技師長は「受付の生け花が、精密検査を受ける人の不安を和らげている」と花の効果を感じ取る。

 毎年5月の病院祭と10月の院内華展では、JA佐久浅間が提供する花を使った“大作”を発表。その豪華さに、入院患者や来院者から「通院のたびに堪能した」「入院中、心がなごんだ」と感謝の手紙が届くほどだ。

 感染問題に詳しい神戸大学大学院医学研究科の岩田健太郎教授は「生花が原因で菌の感染が拡大するリスクは、血液内科などの特殊病棟以外ない」と強調。「病院は患者さんに制約や我慢を強いることなく、患者さんの視点に立って、生花を楽しんでもらうための対策を立てることが重要」と助言する。(齋藤花)

<メモ> 一時6割「否定的」 病院への生花持ち込み問題

 2002年に大阪府内の病院で花瓶から緑膿(りょくのう)菌が検出されたことがきっかけで、患者への感染拡大を恐れ、全国の病院で生花の持ち込みが禁止されるようになった。

 大阪市の花き卸・なにわ花いちばと日本花き卸売市場協会が14年、全国主要7都市の病院を対象に実施した生花の持ち込み調査によると、回答した377病院のうち全面禁止は26%、一部禁止は35%と、計6割が否定的だった。全面禁止を地域別に見ると大阪が44%と最も多く、次いで名古屋39%、札幌32%、東京21%だった。福岡と広島はそれぞれ3%、4%と低かった。

日本農業新聞

最終更新:8/3(水) 7:00

日本農業新聞

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。