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児童養護施設出身者の大学中退を防ぐ 東京・北区のシェアハウス

福祉新聞 8月3日(水)10時13分配信

 児童養護施設を退所後、大学などに進学した学生のためのシェアハウスが今年4月、東京都北区に誕生した。親からの支援を見込めない若者を支え、中退を防ぐ。スタッフが毎日宿泊して寄り添い、温かい食事と語らいのある暮らしを提供する。7月9日には都内で活動報告会を開いた。

 シェアハウスを運営するのはNPO法人学生支援ハウス「ようこそ」で、理事長を庄司洋子・立教大名誉教授が務める。

 シェアハウスは築60年の古民家をリフォームしたもの。利用対象は児童養護施設を退所し、大学や専門学校に学籍のある女性。利用料については授業料などを自分で賄う学生を支えるため、部屋代や光熱水費、朝夕食費込みで月5万円にした。

 現在は定員5人のところ大学生2人と専門学生2人が入居する。週5日、学生に寄り添う専門職として元児童養護施設職員の木幡万起子さんが午後5時から翌日の午前9時まで宿泊する。不在時は他のスタッフが入る。

 門限を午前0時にするなど、共同生活のルールは入居者と一緒に決めたという。

 庄司理事長は「夜間の学校に通うため朝早く働きに行く子や、深夜までアルバイトする子など、一人ひとり違って対応は大変」と学生を支援することの苦労を語った。

 ■修学支援型を全国に

 児童養護施設は、原則18歳で退所をする。厚生労働省によると、一般家庭の子どもは高校卒業後、進学が77%、就職は18%だが、児童養護施設の子どもは進学が23%、就職は70%と割合がほぼ逆になっている。

 認定NPO法人ブリッジフォースマイルの調査では、施設退所者は進学後、1年が経過した時点で9%が中退し、その後徐々に増えて4年後には全体で21%が中退しているという。

 「ようこそ」の深田耕一郎・事務局次長は設立から3カ月がたって「学校とアルバイトの両立という多忙な生活で、体調や精神面での変化が出てくる。その変化を身近な場所にいてキャッチし、サポートする大人の存在は欠かせないと感じる」と話した。

 「ようこそ」の運営には、学生からの利用料と寄付や会費を充てているものの、十分ではない。理事を務める浅井春夫・立教大教授は「修学支援型のシェアハウスは何らかの形で制度化する必要がある」と訴えた。

 施設退所者の就学をめぐって、今年6月に公布された改正児童福祉法では原則20歳未満としていた自立援助ホームの利用対象を、大学などに通っている学生に限り、22歳の年度末まで広げるという動きもある。

最終更新:8月3日(水)10時13分

福祉新聞