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旅好きジャーナリストが「リオから生還する方法」を緊急リポート

東スポWeb 8月4日(木)7時4分配信

「地獄へようこそ」――。リオデジャネイロの玄関口の空港で、警察官が州政府に未払いの給料支払いを要求し、冒頭のプラカードを掲げ抗議活動を行っているというニュースは、ショッキングだった。いよいよオリンピック本番。リオの街が五輪ムードに沸騰する一方で、その治安は最悪と言わざるをえない。現地で五輪を見る方々へ、リオでどうふるまえばいいのか。本紙で「もっとも陽気な南米地獄放浪記」を連載中のジャーナリスト、中村竜太郎氏が「リオから生還する方法」を緊急リポート――。

 統計によると、現実にリオで昨年起きた殺人事件が1205件。なんと1日に3・3件の殺人事件が起きている。同様に、強盗事件は昨年8万1740件で、やはり1日あたりで計算すると224件が発生しているが、ブラジルの深刻な経済不況に伴い、4年前に比べると約50%増加。その統計も届け出上の数字だから実態はそれをはるかに上回る。まさにリオは世界有数の犯罪都市だ。

 五輪期間中、海外からの来訪者が50万人を超えると予想。日本からは1万人が訪れるとみられている。平和慣れした日本人は、犯罪者からみれば「いいカモ」。せっかくの楽しい旅を犯罪に巻き込まれて苦い思い出にしないよう、いくつかのポイントを伝えたい。

 まずは子供に気をつけるということ。リオの犯罪の特徴は銃によるものが多く、10代の子供が所持しているケースが多い。いわゆるギャングの中心構成は未成年で、バスや地下鉄に銃を持って乗り込み、客から金品を奪って次の駅で逃げ去る手口や、バイクに乗りながらタクシーの窓越しに銃を突きつけ、所持品を奪うケースは彼らの定番といえる。

 バスの車外からピョンとジャンプして乗客の荷物を奪ったり、すれ違いざまにバッグやネックレスを強奪したりするなど、人目もはばからず犯行に及び、走り去る。たいがいが遊ぶ金欲しさで、犯罪行為が一種のゲーム感覚なのだ。

 では万が一、銃を突きつけられたらどうすればいいか。最も大事なのは抵抗しないこと。路上強盗に遭ったり、ホテルの部屋に侵入されたりした場合には、相手が子供であっても刺激しないようにしないといきなりズドンと撃たれる危険性も。

 相手の目をじっと見るのもNGだ。犯人は興奮しているので、大声を出したり、逃げるそぶりを見せることはかえって危険。銃器が氾濫しているリオでは、もしも自分が上着の内ポケットなどに手を入れようものなら、銃を取り出そうとしていると勘違いされて発砲されることがある。

 特に気をつけたいのは犯罪多発エリアに迷い込んでしまうこと。リオで有名なファベーラ(スラム街)はセントロを中心に街の発展とともに広がり、銃器や麻薬の密売、犯罪の温床となっている。市中心部と国際空港を結ぶ高速道路周辺や、港湾地区は凶悪事件が多発しているので、絶対に近寄らないこと。

 高級住宅地だからと安心するのも禁物だ。日系企業が集まる比較的治安がいいとされるボタフォーゴ地区でも、すぐ裏手には不法住居の一角があり、決して安全とはいえない。セレブ地区とスラム街が霜降り状に混在しているのが現実なのだ。

 ファベーラの見極めはバラック小屋やトタン屋根、壁の落書き、盗電ケーブル、急な坂道の階段など。商店のシャッターや窓が鉄柵でガードされていたら、すぐに引き返すべし。

 ホテルの周辺には観光客を狙った強盗やひったくり犯が徘徊していることがあるので、出かける際に不審者がいないか周辺を観察すること。歩行中に時々背後を振り返ることは、犯罪者への警戒心を示すことにつながり有効だ。もしも不審者に気づいた場合には近くの商店などに飛び込み緊急避難するといい。
 また必要以上の現金や旅券等の貴重品は持ち歩かないこと。現金やカードは被害に遭った場合を想定して、分散して所持しておくといいだろう。

 旅では飲み食いが楽しみだが、ひとり歩きは避けた方がいい。夜中にほろ酔いで外を歩くなど自殺行為。なるべくグループで行動した方が賢明だ。リオの場合、人通りの多い時間帯でも、堂々と犯罪が行われていることもきちんと認識しておくように。

 最後に現代人必携のスマホだが、大げさな言い方をすると、出した途端に盗まれるというくらいの覚悟をすべき。カメラやパソコンも同様だ。情報はクラウドでバックアップを取っておくこと。

 用心を怠らなければ、リオは地獄ではなく、間違いなく天国だ。リオ五輪を存分に楽しんでほしい。

☆中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう)=1964年生まれ。元週刊文春“伝説のスクープ記者”。これまで世界40か国以上を一人旅した旅好きジャーナリスト。現在、フジテレビ「みんなのニュース」金曜午後4時台のレギュラープレゼンターとしても活躍中。

最終更新:8月4日(木)7時18分

東スポWeb