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【6月米個人所得・消費支出】消費が市場予想を上回り、好調が持続。

ZUU online 8月4日(木)19時50分配信

■結果の概要:個人所得は予想を下回る一方、個人消費は予想を上回る伸び

8月2日、米商務省の経済分析局(BEA)は6月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.2%(前月:+0.2%)となり前月と一致、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.3%は下回った。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.4%(前月:+0.4%)とこちらも前月と一致、市場予想(+0.3%)は上回った。

価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は、前月比+0.3%(前月改定値:+0.2%)と、+0.3%から下方修正された前月改定値を上回ったほか、市場予想(+0.2%)も上回った。貯蓄率(*1)は5.3%(前月:5.5%)と前月から低下した。

価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:+0.2%)と、前月から伸びが鈍化、市場予想(+0.2%)も下回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月値:+0.2%)と、前月から伸びが鈍化したものの、市場予想(+0.1%)には一致した。

なお、前年同月比では、総合指数が+0.9%(前月:+0.9%)、コア指数が+1.6%(前月値:+1.6%)となり、総合指数、コア指数ともに前月に一致した。

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(*1)可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
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■結果の評価:3ヵ月連続で消費が所得の伸びを上回る。

個人消費支出(前月比)は、4月に+1.0%と09年8月以来の高い伸びとなった後も、2ヵ月連続で+0.4%と堅調な伸びが持続しており、期待外れであった1-3月期からの回復が鮮明となった。

さらに、3月の貯蓄率が6.2%となるなど、これまで所得対比で消費が冴えない状況となっていたが、4月以降は3ヵ月連続で消費が所得の伸びを上回った結果、貯蓄率は15年3月の水準まで低下しており、所得対比でみても消費が回復していることが分かる。

5月に雇用者数の増加ペースが急減したことから消費への影響が懸念されたが、6月は大幅増加に転じ雇用回復の持続が確認されたほか、賃金も底堅い伸びとなっていることから、労働市場は引き続き個人消費の回復が期待できる状況となっている。

さらに、6月下旬の予想外の英国によるEU離脱決定を受けて、株式市場をはじめ資本市場が不安定化することが懸念されたが、足元では安定しており、消費者センチメントの悪化を通じた消費への影響も限定的とみられる。

物価は原油価格が2月を底に上昇したこともあり、3月以降はエネルギー価格が前月比でプラスとなっているため、エネルギー価格下落が物価を押下げる状況は緩和されてきた。もっとも、足元で再び原油価格は下落に転じていることから、来月以降の動向が注目される。

一方、前年比ではコア指数が4ヵ月連続で+1.6%に留まっているほか、総合指数は+0.9%と、いずれもFRBの目標水準(2%)を下回る水準で推移しており、物価上昇圧力の高まりはみられない。

■所得動向:利息・配当収入が減少も、賃金・給与の伸びが加速

個人所得の内訳をみると、利息・配当収入が前月比▲0.5%(前月:+0.1%)と2月以来のマイナスとなった一方、賃金・給与が前月比+0.3%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した。

個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.2%(前月:+0.2%)と前月に一致したほか、価格変動の影響を除いた実質ベースは+0.1%(前月:横這い)と、前月から小幅ながら伸びが加速した。実質可処分所得は伸びがやや鈍化していることから今後の動向が注目される。

■消費動向:財・サービス消費ともに堅調

名目個人消費(前月比)は、財消費が前月比+0.3%(前月:+0.1%)、サービス消費は+0.5%(前月:+0.5%)と、サービス消費が前月同様高い伸びを維持したほか、財消費は前月から伸びが加速した。財消費の内訳をみると、耐久財が▲0.3%(前月:▲0.4%)とマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続でマイナスとなった一方、非耐久財が+0.7%(前月:+0.4%)と前月から伸びが加速した。

■価格指数:エネルギー価格の物価押下げは逓減

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+1.5%(前月:+1.4%)と4ヵ月連続でプラスとなった。一方、食料品価格指数は▲0.2%(前月:▲0.5%)と、こちらは2ヵ月連続でマイナスとなった。

前年同月比では、エネルギー価格指数が▲10.0%(前月:▲10.7%)と、2ヵ月連続で2桁のマイナスとなった。

足元で原油価格が再び低下していることには注意が必要だが、昨年は6月が原油価格のピークで年末にかけて下落したことから、前年比でみたエネルギー価格の物価押下げ幅は今後逓減することが見込まれる。一方、食料品価格指数は、▲0.9%(前月:▲0.4%)と、こちらも物価を押下げる状況が持続した。

窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

最終更新:8月4日(木)19時50分

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