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“民謡ハンター”のごとく全国の民謡を発掘するDJ「俚謡山脈」とは?

M-ON!Press(エムオンプレス) 8月4日(木)18時7分配信

「民謡」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろうか? 「おばあちゃんがよく歌ってたな」「学校で習った気がする!」など……。世代や年齢、育った地域によって、その印象は異なるかもしれないが、その言葉を「クラブ」や「DJ」と結びつけてイメージする人は少ないはずだ。

日本最古の神楽「弓神楽(ゆみかぐら)」

日本にはクラブで開催されるパーティーに大量の民謡レコードを持ち込み、DJブースでプレイすることで客を踊らす「民謡DJ」が存在するのだ。

■民謡とは、日本文化の残された「鉱脈」である

そんな世にも珍しい「民謡DJ」として活動するのが、2人組DJユニットの「俚謡山脈(りようさんみゃく)」。民謡をはじめとした、日本の伝統音楽を発掘し、DJプレイを行うこのふたりが、本格的に活動を開始したのは2015年の1月であった。

活動開始後、民謡のミックステープを立て続けに2枚リリース。有名DJから盆踊り好きまで、様々な人の間で話題となったこともあり、彼らの民謡への興味はさらに加速。

「民謡は決して色物でも飛び道具でもなく、長い時間をかけて掘る価値のある日本に残された最大級の文化の鉱脈である」

この信念に従って、その後、俚謡山脈はさらにディープな民謡の世界に飛び込んでいった。民謡が生で演じられる民謡大会、ラジオで放送される民謡番組、地方の盆踊り……「生活の中にある民謡」を求めて、ふたりはあらゆる場所を訪れ、“ヤバい民謡”の探求に明け暮れた。

■辿りついた日本最古の神楽「弓神楽」のサウンドとは?

そんな熱心な活動の末に出会ったのが、広島県に伝わる日本最古の神楽である「弓神楽(ゆみかぐら)」だ。本物の弓に張った弦を細い竹で叩くことで生み出される音色に、手拍子、笛が加えられ、ビートに乗って聴こえる宮司の声……まるで、スピリチュアルジャズのような響きとグルーブを持つ日本太古の音楽を、彼らは発掘したのだ。

そして、俚謡山脈の活動は音楽を発掘するだけでは終わらない。アーカイブ音源の権利者からライセンスを取得し、2016年7月に正式音源としてリリース。「弓神楽」を誰もが聴いて楽しむことができる環境を整えたのだ。現在、公式サイトからは、気になるサウンドの試聴も可能だ。

サウンドのみならず、宮司が佇むスタイリッシュなジャケットや、「ボーナストラックは、弓神楽のただひとりの後継者、田中律子宮司の唱誦」という見慣れない表記も興味をひく、面白い音源となっている。

誰も探求していないものを見つける、そこに自分なりの価値を見出す、そして誰よりも楽しむ……弓神楽という太古の音楽に、「現代的な価値」という生命を吹き込んだ俚謡山脈の活動スタイルは、新しい文化を生み出したい人に、大きなヒントを与えてくれるかもしれない。

最終更新:8月4日(木)18時7分

M-ON!Press(エムオンプレス)