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Windows 10の大型更新、仕事ですぐ導入すべき?

ITmedia エンタープライズ 8月4日(木)10時35分配信

 日本時間の8月3日、開発者などが登録している「Windows Insider Program」のユーザーのもとに早速「Windows 10 Anniversary Update」(以下、Anniversary)が配布されている。今回は、Anniversaryへの移行を企業がどのように考えるべきかについて解説していく。

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 既にWindows 10へ移行している企業でも、すぐAnniversaryへアップグレードするのは、無茶だろう。筆者のPC環境でアップグレードしたが、一部のゲームソフトが動作しなかった。ほとんどのビジネス向けアプリケーションは動作したが、ゲームとはいえ、一部のソフトが動作しなかったという点は信頼性に疑問が出てくる(ゲームを再インストールすれば動作した)。

 ただし、このあたりは時間が解決するだろう。現在のAnniversaryは、「Current Branch」(CB)という一般ユーザーへの配布が中心だ。CBでの配布は4カ月ほど行われ、順次アップグレードが行われる。

 一方で企業ユーザーなどは、設定をすれば「Current Branch for Business」(CBB)となる。アップグレードは最大12カ月先に延期できる(CBの4カ月+CBBでの8カ月。期間には厳密に決まっていない)。

 また、CBB向けの「Windows Update for Business」(WUB)を利用すれば、特定のクライアントをグループ(Ring)化して、順番にアップグレードを配布するといったコントロールができる。

 企業では、まずクライアントOSを評価しているIT部門などの管理者のPC(業務に使用していないPC)を利用することになるだろう。CBBモデルでアップグレードしてみて、自社の業務アプリケーションに不具合が起きないかテストしていく。

 なお、CBモデルであっても毎月のパッチ提供によって不具合が順次修正されていく。市販アプリケーションを使用している場合は、アプリケーション側でも徐々にAnniversaryに対応したアップデートがリリースされるだろう。

 企業としては、CBモデルのアップグレードが終了する4カ月後(2016年12月3日頃)を待って、CBBモデルで本格的な社内アップグレードを始めてもいい。つまり、CBモデルの4カ月間は、IT部門ができるテストを繰り返していく。

 CBBモデルでも、社内のPCを部署単位などでグループ化(Ring)することによって、グループごとに配布時期をコントロールできる。例えば、社内で最も早くアップグレードを行うのはIT部門だけとし、トラブルがなければ数週間後に営業部門、企画部門、経理部門と展開し、最後に工場などのPCに配布するといった具合で、スケジュールを立てやすい。

 こういったことからも、企業はWindows 10のアップグレードに関する経験を積んでいくべきといえる。今後は、Windows 10がWindows OSの基本となり、年に数回のアップグレードが繰り返えされていくため、今の段階から大きな混乱が起こらないアップグレードのスケジュールを考えていくべきだろう。

 注意が必要なのは、Windows 10ではアップグレードやパッチ提供などが一括して行われるため、従来のWindows 7/8.1のようにユーザーがインストールしたいパッチだけを選択して適用するといったことができない。

 要は、全部をインストールするか、しないかの二者択一だ。特に、Windows Updateで配布されるパッチは、従来のように選択してインストールするようなユーザーインタフェースではないため、パッチを全てインストールするしかない。

 例えば、Anniversaryで追加されたEdgeブラウザの拡張機能だけを利用したいといっても、Anniversary版のEdgeのみをインストールすることはできない。Anniversaryに丸ごとアップグレードしなければならなくなる。

 またCBモデルの場合、リリースから4カ月が経過した後に提供されるWindows Updateのパッチはアップグレード版がベースとなるため、セキュリティの観点ではリリースから4カ月以内に必ずアップグレードする必要がある。CBBモデルの場合は、上述したように12カ月以内に行う。

●Windows 10に移行していない企業

 現時点でWindows 10に移行していない企業は、まずWindows 10への移行スケジュールを考える必要がある。多くの日本企業では、既存のPCのOSをWindows 10にアップグレードすることはほとんどなく、多くの場合は新規PCへの買い換え時にOSを変更している。

 注意すべきは、一般ユーザーと同じようにメーカーからPCを購入する場合(中小企業で少量台数を購入する時など)だ。プリインストールされているOSが、Anniversary(2016年8月公開)なのか、November Update(2015年11月公開)なのかを把握しておく必要がある。

 トラブルを未然に防ぐことを考えれば、Anniversaryがリリースされた直後に発売される、AnniversaryをプリインストールしたPCの購入はお勧めできない。ただ、社内テスト環境に限定したり、業務アプリケーションなどでトラブルが起こることを織り込み済みだったりしているなら、あり得るかもしれない。それでも企業としては、できればCBモデルの4カ月が過ぎるのを待ち、さまざまなトラブルが修正された後にAnniversaryをプリインストールした新規PCを購入する方がいいだろう。

 Windows 10に移行していない企業にとっては、まず移行自体が大きな作業となるので、移行先のWindows 10のバージョンなどは気にしていないことが多い。今後は新規購入するPCにプリインストールされているWindows 10のバージョンを気にかけていく必要がある。また新規PCの導入は、できればCBモデルの終盤(4カ月後のあたり)以降に購入スケジュールを立てる方が安心だ。

 Windows 10になり、OSアップグレードの考え方は大きく変わっている。今後はこういった考え方を踏まえ、自社のIT設備のアップグレードスケジュールを考えていかないといけない。

最終更新:8月4日(木)10時35分

ITmedia エンタープライズ