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生田斗真の俳優論「常に先を行く革命家でありたい」

オリコン 8月7日(日)8時40分配信

 作品ごとに多彩な顔を見せる俳優・生田斗真が、最新主演作『秘密 THE TOP SECRET』では心に闇を抱える中性的で美しいビジュアルの主人公を好演した。精神的にきつかったという撮影現場で感じたこと、憑依型俳優と呼ばれる役に自分をすり込む演技論、後輩俳優たちへの想いなどをたっぷりと語ってくれた。「多面性を持ってつねに先を行く革命家でありたい」という自身の目指す俳優としてのあり方も明かす。

【写真】バックハグされる中性的なビジュアルの捜査官・生田斗真

◆共演者みんなが命を削られてギラギラしていた撮影現場

――演じられた薪は、被害者の“脳に残った記憶”を映像化し、事件を捜査するMRI捜査官。原作では中性的で美しいビジュアルが特徴的ですが、映画での生田さんはまさにその通りのイメージでしたね。
【生田斗真】 大友(啓史)監督がビジュアルイメージを大事にされる方なので、スーツや髪型についてけっこう細かく要求があったんです。監督は「薪さんは美しく、くたびれた青年」というテーマに掲げていたので、僕もそれを心に置きながら演じていました。

――クールに見えるけれど、内面には深い闇が渦巻いている薪を演じるのは難しかったのでは?
【生田斗真】 最初に監督から「トラウマや闇は全部腹の底にとどめて蓋をして、それでもあふれ出てくる上澄みみたいなものを切り取りたい」と言われたんです。でも、腹の底にそういう感情をとどめておくのは、かなりしんどい作業でした。撮影は3ヶ月くらいかかったので、その間ずっと精神的にきつかったです。

――人の脳内を見るシーンなど、ヘビーな部分も多かったですよね。そういう意味でも気持ち的にハードな現場だったのかなと。
【生田斗真】 大変でしたよ(笑)。ずっとスタジオにこもりっきりだったので、カットがかかるたびにスタジオから出て、外の空気を浴びていました。でも、撮影中は僕だけじゃなくて共演者みんなが命を削られていったというか、どんどんやせちゃって。後半はみんないい感じにギラギラしてきてたので、役づくりとしてはよかったと思います(笑)。

◆役に自分の色を出すのではなく、自分から役に近づいていきたい

――大友組は熱量が高くこだわりが強い現場だと思いますが、参加してみてどうでしたか?
【生田斗真】 そういう噂は聞いていたので、僕自身も以前からすごく興味のある監督でした。ここまで作品づくりに欲がある監督は珍しいですよね。ある種、傍若無人というか猪突猛進というか(笑)。ものを作るにはいろいろな制約があるものですけど、大友監督はそこを突破して「オレはこれが作りたいからもうちょっとやらせてくれ」って言うんです。常にものづくりを最優先させる情熱的な方です。

――監督は生田さんのことを「小手先のテクニックではなく、役に憑依していくプロセスを大事にする役者さん」だとおっしゃっていました。現場でも演技について意見を交わしたりしましたか?
【生田斗真】 直接そういう話はしなかったですね。監督は僕を孤独にしようとしていた部分があって、あまり密になりすぎないようにしていたと思います。でも、シーンが終わるごとに「いや~、いいねいいね」と言ってくれていたので、毎日充実して満足しているのが伝わってきました。

――ご自身としては、役に入っていくときってどんな感覚なんですか?
【生田斗真】 すごく簡単な言い方をすると、“自分をだます”というか……。自分は薪なんだってことをすり込んでいく感じです。どこかに自分の色を出したいっていうよりも、なるべく自分から役に近づいていきたいという気持ちがあります。

◆一度足を踏み入れたらなかなか抜け出せない世界

――その感覚が、俳優の仕事の魅力でもあるのでしょうか?
【生田斗真】 自分じゃない誰かの人生を過ごせるっていうのはすごく魅力的ですよね。一度足を踏み入れてしまったらなかなか抜け出せない世界だなと思います(笑)。

――年齢とともに、作品に対する思いって変わってきていますか?
【生田斗真】 まず、いただく役柄が変わっていますよね。何年か前だったら、『秘密』では岡田将生くんが演じた青木を演じていたと思うし、『グラスホッパー』だったら後輩の山田涼介くんが演じた役だろうなと思う。そういう意味でも年齢とともに変わっていくし、つねに先を行っていたい、革命家でありたいという思いはどこかにあります。20代の頃は勢いでワーッと駆け抜けられたけど、30代になると技術的なことや知識も要求されてくる。それにしっかりと応えながらも、それだけじゃないっていう多面性は持っていたいです。

――ご自身が先に進んでいくなかで、後輩や年下の役者さんのことはどう見ていますか?
【生田斗真】 今回共演した岡田くんも松坂桃李くんも、山田もそうですけど、年下とか関係なく俳優として尊敬できる人たちです。なので何かしてあげるというより、一緒にがんばらないとっていう感覚ですね。ただ、年下の俳優に相談されることは増えたので、それは僕の経験値から言えることがあれば教えてあげたい。人に話しているうちに考えの整理がつくこともあるので、話を聞いてあげるだけでもいいのかもしれないですしね。

――完成報告会見で、生田さんは「この作品が、日本映画を次のレベルに持っていくひとつの要因になれば」とおっしゃっていましたよね。それくらいの自信作になったということですか?
【生田斗真】 調子に乗ったことを言っちゃいましたけど(笑)、本心です。なかなかハリウッドみたいに時間とお金をかけることはできないけど、僕らにできること、僕らにしかできないことってあると思います。この映画だってハリウッドに負けてないんじゃない? って思います。僕自身、見終わった後すごいものを見たなっていう満足感があったし、本当に誰かの脳内を見てたんじゃないかっていうくらい、映画の世界を体感した気持ちもあって。お客さんもきっとグッタリすると思いますよ。軽い気持ちで映画館にフラッと入ったら、きっとえらい目に遭うんじゃないかな(笑)。
(文:加藤 恵)

最終更新:8月7日(日)8時40分

オリコン

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