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総社からアニメで情報発信 9月にスタジオ開設の小林美代子さん

山陽新聞デジタル 8月4日(木)15時33分配信

 地方を拠点にしたアニメ制作会社が増えている。岡山県総社市では、手塚プロダクション(東京)のスタッフだった小林美代子さん=岡山市=が、総社商店街の空き店舗を利用してアニメスタジオを9月に開設する。屋号は「えかきや」。大小数百社の大半が東京に集中するアニメ業界で35年間仕事に携わってきた小林さんに、地方での開業の意義などを聞いた。

―総社市にスタジオを設ける経緯は。

 「親が高齢化し、Uターンを決意したのがきっかけ。実家から通える範囲で物件を探したところ、総社市から空き店舗を活用した起業家支援事業の補助金適用を受けられることになった。既に福岡県からスタッフ2人が市内に移住し、制作会社から受注した『ポケットモンスター』などの線画作成業務を始めている」

 ―アニメ業界は原画、撮影、音楽、背景作成など分業体制が確立しており、そのほとんどが東京で行われている。

 「インターネットの普及でデータのやり取りが容易になり、地方で仕事をする障害はなくなったと言っていい。私自身、原画以外はほとんど経験し、業界に大勢の仲間がおり、仕事を受注できる人脈さえあれば、どこにいても業務は可能だ」

 ―専門的な業界だけに、地方では人材確保が難しいのでは。

 「そうは思わない。東京で長く仕事をしてきて、家庭の事情で泣く泣く帰郷する人を何人も送ってきた。西日本に拠点があれば、東京には住めないが、この業界で働きたい人の受け皿になれる。岡山は交通の結節点。その潜在能力は大いにあると思う」

 ―近年、アニメ作品に登場した地域をファンが訪れる「聖地巡礼」が社会現象になっている。地方が舞台になるケースも多く、その背景として地方を拠点としたアニメスタジオの存在が大きい。岡山にも可能性はあるか。

 「企画・脚本段階からの自社作品制作ができるくらいの規模にならないと難しい。先行する制作会社を見ると、地域に定着して10年くらいかかっている。そのくらい長い目で見てほしい」

 ―地域活性化にアニメは役立つか。

 「総社でアニメ版地産地消をやってみたい。本業だけでなく、地元の畑で採れた野菜にイラストを描いたラッピングをして売るとか、特産品や観光マップにアニメの絵を入れるとか。総社に来ないと得られないアニメ体験を提供したい。いわば『半アニ半農』。スタジオには展示やイベントができるスペースも設ける。総社から全国へ情報を発信していきたい」

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最終更新:8月4日(木)15時40分

山陽新聞デジタル