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Japan Expo仕掛け人、フランス出版社に聞くビジネスと文化を創造するマンガ

SENSORS 8/4(木) 14:00配信

今年のJapan Expoは何かが違う。
フランスのマンガ市場は新しいステージに移行する転換点を迎えたかもしれない。 その予感の理由について語る前に、ここで「そもそも、Japan Expoってなに?」という人のために簡単にその歴史を振り返っておきたい。Japan Expo仕掛け人トマ・シルデ氏とフランス最大手の出版社アシェットのグループ企業であるPIKA社のヴィルジニ・ドダン・クラヴォウ氏にJapan Expoを始めた理由や、フランスにおけるマンガの意味・価値を伺った。 彼らの言葉から、マンガを通してフランス人が日本に触れていることを感じてもらいたい。

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共有のためのリアル空間としてのJapan Expo -トマ・シルデ Japan Expo主催者

Japan Expoはもともと、マンガ・アニメをはじめ日本文化全般に興味を持つ学生とそのサポーターによる学生イベントとして2000年に始まった。
初期の動員数は数千人規模だったが、フランスでのマンガのマス化に伴い、今日では4日間の開催期間中に約25万人を動員するヨーロッパ最大の日本文化の祭典になっている。
毎年増える来場者に対応するため、2007年に主催者のジャン・フランソワ・デュフール、サンドリーヌ・デュフール、トマ・シルデの3人は運営母体としてSEFA EVENTを創立した。その後、海外を含めJapan Expo運営に付随した 多角的展開に対応するため、2009年にはホールディングスカンパニーのJTS PARTICIPATIONSを設立している。

主催者の3人にはそれぞれ役割分担があり、特にイベントのコンセプト・内容面を一手に引き受けているのがトマ・シルデだ。彼によれば、学生イベントの自然発生的拡大という歴史はJapan Expoのイベントとしての特徴と密接に結びついているという。シルデに直接話を聞いた。


-Japan Expoを始めた理由は?創立者として、Japan Expoの本質は何だと思いますか?

シルデ:マンガに興味を持ち始めた90年代の半ば頃、まだフランスではマンガファンはほとんどいませんでした。それで、僕らは登場したばかりのインターネットを通じて遠く離れた仲間を見つけては、ベストだと思うマンガは何かとか、一番好きなアニメ監督は誰かとか、話していたんです。
そのうちに彼らと直接集まって好きな文化を共有できる場所を作れたらと思うようになった。それで創立者の2人と一緒にJapan Expoを始めました。

-つまり、仲間と共有するための空間として始まった?

シルデ:そうです。そこにビジネス的要素が後から加わっていきました。
Japan Expoの本質的な特徴のもう一つは、「マンガ」Expoでも「アニメ」Expoでもなくて「ジャパン」Expoであることです。マンガやアニメを始めとする日本のポップカルチャーが中心ではあるけれど、そこから日本文化を広く伝えたいという気持ちがあります。
最初はマンガやアニメを通して日本を知って、それから実際に日本に行って、日本の多様な文化を知り、さらに魅力を感じた。だから同じように日本のポップカルチャーをきっかけに日本に興味を持った人たちに、日本の様々な文化と接するきっかけを提供したいと思っています。それが「ジャパン」Expoと名付けた理由の一つです。

-「ジャパン」Expoとしてここまで成功したということは、フランスの若者たちはマンガやアニメだけでなく日本文化そのものに興味を持っているということですか?

シルデ:そうだと思います。会場を見て頂ければ、日本の食や伝統芸能、武道など様々なテーマのブースがありますが、どこも賑わっていることに気づかれると思います。
さらにJapan Expoの特徴として、「日本のコンテンツ」を「フランス式のやり方」で伝えていることがあげられると思います。日本文化は奥深いので、そのままフランスに持ってきただけでは、その魅力をすぐに理解してもらうのは難しい。
そこでJapan Expoとして注力しているのは、異文化としての日本文化に興味を持つきっかけになるコンテクストを作ることです。例えばAKB48のファンに演歌を紹介したり、武道を説明する時に『NARUTO』に触れながら解説したりしています。日本の文化とフランス式の伝え方とがコラボレーションをすることで、日仏の橋渡しになることを目指しているのです。

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最終更新:8/4(木) 14:00

SENSORS