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銀行、日銀の「総括的な検証」に戦々恐々

ニュースイッチ 8月4日(木)8時29分配信

量的金融緩和の縮小とマイナス金利の深化に舵を切るのか

 日銀が9月に実施する「総括的な検証」に銀行が戦々恐々としている。黒田日銀は2%の物価目標の柔軟化は視野に入れていない可能性が高く、現行の金融政策を一部修正しながら追加緩和を断行するとの見方が支配的だ。1日に出そろった銀行5グループの4―6月期決算では全グループが業績予想を据え置いたが、達成は容易ではなさそうだ。

 「『総括』の言葉から受ける印象と違い、金融政策の失敗を振り返っての検証は期待できないだろう」。日銀が政策決定会合を開いた29日夜、銀行関係者はこうこぼした。実際、黒田東彦総裁は29日の記者会見でも2%の目標達成への強い意志を示した。

 物価目標の柔軟化やこれまで推進してきた3次元緩和からの完全撤退は現実的には考えづらい。黒田総裁はヘリコプターマネーに否定的である上、国債の買い入れは限界が見え隠れする。検証後に打ち出す政策としては、量の拡大に見切りをつけた上での、マイナス金利幅の拡大との見方が市場では浮上している。

 実際、大手銀行幹部は「7月の決定会合でマイナス金利の引き下げを想定していた。深掘りされれば影響は前回よりも大きい」と語る。

 2月のマイナス金利政策の導入で銀行にとっては重荷になる預金金利をほとんどゼロ近辺まで引き下げた。更なる利下げがあっても預金金利を下げる余地はない。

 一方、貸し出し基準のひとつである短期プライムレートを下げざるをえなくなる可能性が高い。大手企業に対する銀行融資の指標金利になるTIBOR(東京銀行間取引金)はマイナス金利政策導入後下がったが、短プラはマイナス金利政策導入後も高止まりしている。

 大手銀行のマイナス金利の2017年3月期の当期利益に対する影響は、金利低下に伴う預貸収益の悪化と有価証券の利回りの低下に限定しても2%から5%程度と試算される。

 深掘りされた時の、具体的な影響は未知数だが、「例えば0・2%に拡大された場合、影響は前回の2倍ではきかない」(前出幹部)との声もある。
(文=経済部・栗下直也)

【解説】
 「総括的な検証」という言葉で、これまでの金融政策の反省と見直しをするのかという受け止め方もあったが、昨日の麻生財務大臣と黒田総裁の会談で、やはり従来路線の延長かとの一種の失望感に変わってきた。量的緩和とマイナス金利は相性が悪い。恐らく、量的緩和のテーパリングと、マイナス金利の深堀りに舵を切るのではないか。
(ニューホライズンキャピタル会長兼社長・安東泰志氏)

最終更新:8月4日(木)8時29分

ニュースイッチ