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出光創業家、昭シェル株取得。合併阻止へ徹底抗戦の構え

ニュースイッチ 8月4日(木)8時30分配信

合併、抜本的に練り直す必要に迫られる

 昭和シェル石油との合併を進める出光興産の経営陣と、合併に反対する出光創業家との対立が鮮明になった。創業家が昭和シェル株を40万株取得したことで、出光が9月にも取得する昭和シェル株と合わせた出光関係者の持ち株比率が3分の1を上回る可能性が出てきた。出光は昭和シェル株を株式公開買い付け(TOB)で取得する必要に迫られ、株式取得費用が膨らむ恐れがあり、合併の大きな障壁となる。

 出光創業家代理人の浜田卓二郎弁護士が創業家の出光昭介名誉会長による昭和シェル株取得を明らかにした。出光は合併を前提に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルグループから昭和シェル株33・3%を取得する予定。

 計画通り取得すれば出光関係者の持ち株比率は3分の1を上回る見通しだ。浜田弁護士によると創業家は、出光経営陣が合併を断念するまで昭和シェル株の追加取得も辞さない考え。合併阻止へ徹底抗戦の構えを示す。

 一方、出光の月岡隆社長は「持続的な成長と石油業界の将来を考えた時、昭和シェル石油との経営統合が最善の策と確信していることに変わりはない」との談話を発表し、合併に向け創業家と協議を続ける意向を示した。だが創業家は協議にも応じない考え。出光、昭和シェルは合併への手順を抜本的に練り直す必要に迫られる。

<昭和シェルと出光、未来への合併メリットとは>
 エネルギー業界の分析力で定評のある東京理科大学大学院・橘川武郎教授に聞く。

 ―昭和シェル石油と出光興産の経営統合はどう分析しますか。
 まず意外な方から言うと、両社とも石油会社ですが、実は出光は大分県の滝上(たきがみ)で九州電力と地熱発電所をやっているし、新しく北海道でも実施しようとしているなど、地熱発電に熱心な会社です。それから青森県の六ヶ所村に蓄電池付きの最新鋭の大規模風力発電所を持っています。

 以前に石原元都知事が熱心だったので、東京都では大きなビルに二酸化炭素の排出量の規制が掛かっているんですが、例えば、新丸ビルの電気は出光の風力発電所の電気を使っています。それと王子製紙の北海道の水力発電を使い、丸の内一帯のビルの電気を賄っています。つまり出光は地熱と風力に強い会社なんです。

 ―丸の内の高層ビル群は、出光の風力と王子製紙の水力というグリーン電力で賄われていたんですね。
 そうです。一方の昭和シェルは、子会社に有名なソーラーフロンティアという会社を持っていまして、これは太陽光パネルの国内最大手なんですね。それから日本で一番大きなバイオ発電所は、昭和シェルの100%子会社が川崎で稼働しているわけです。

 つまりこっちは太陽光とバイオに強いわけです。そうすると、「太陽光・バイオ・風力・地熱」と再生可能エネルギーそろい踏みになるわけです。

 ―環境保全の意識が高い企業や個人に需要がありそうですね。
 固定価格買い取り制度(FIT)を使うと、電気を売る時に「完全再生可能エネルギーです」とは言いにくいわけですが、FITなしで販売すればそれを正面から言うことができて、たとえ少々価格が上がっても電気が売れる。

 二酸化炭素も排出しないし、使用済み核燃料も出ない。そういう状況を生み出すのに一番近い位置にたどり着くのが、出光と昭和シェルの合併によって生まれる会社だと思います。これもM&Aが一種「奇跡」を起こしていると言えます。

サウジアラムコとつながるメリット

 ―他にも昭和シェル石油と出光興産の経営統合にメリットはありますか?
 出光は外国資本の入っていない企業です。昭和シェルはロイヤル・ダッチ・シェルの傘下にありますが、昭和シェルの二番目の株主は世界最大の石油会社であるサウジアラムコです。

 このうちのロイヤル・ダッチ・シェルの株式が出光に移転するわけですが、出光はサウジアラムコとこれまで疎遠であったため、80年代のサウジアラムコの原油だけが安かった時代に、それが買えなくてつぶれかかった歴史があります。その出光とサウジアラムコがなんと、今度の経営統合でつながるんです。

 ―サウジアラムコは、産油国サウジアラビアの国営石油会社ですね。
 そうです。サウジアラムコとつながるということは、原油価格のインサイダー情報に近いものが手に入るようになるということです。例えばいつ減産を始めるとか、始めないとか、そういう情報も入手できるようになり、アジアのトレーディングで有利になります。

 もともと昭和シェルは、ロイヤル・ダッチ・シェルとの契約で日本でしか営業してはいけないのに、妙にアジアのトレーディングだけ強かったのですが(笑)、それはサウジアラムコとの関係があったからだと推測できます。それが国内に強い出光の力と合体してアジア全域で展開できるようになります。今出光は、優秀なトレーディング部隊をシンガポールに送り込んでいます。

 それに出光は、ベトナムに製油所をつくっていますので、昭和シェル・出光グループは日本の石油会社からアジアの石油会社に変身していくでしょう。産油国のサウジアラムコとつながり、トレーディングにも力を入れていく。そういう大きな変換のステップとしてM&Aが使われるわけです」
(※M&A Online2016年04月29日付記事から抜粋)

最終更新:8月4日(木)8時30分

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