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乗用車の要素を取り入れることを望んだGM・・・ いすゞ、共同開発を中止し次世代車を単独開発へ

日刊工業新聞電子版 8月4日(木)15時30分配信

リソースを自社製品開発に集中振り分け

 いすゞ自動車は米ゼネラル・モーターズ(GM)と次世代ピックアップトラックの共同開発を中止し、単独で開発することで合意した。両社の商品コンセプトの違いが顕在化したのが主な要因だが、海外事業の拡大で開発リソースが不足するいすゞにとって、結果的に自社製品の開発に経営資源を振り向ける機会となった。開発資源が限られるなか、主力のピックアップトラック事業に注力し、競争力に磨きをかける。(西沢亮)

■方向性の違い顕在化、決して悪い話ばかりではない
 「(共同開発の中止は)開発陣を自分たちの仕事にもっとつぎ込めるので決して悪い話ではない」。いすゞ幹部は次世代ピックアップトラックの協業解消をこう評価する。

 両社は過去2世代のピックアップトラックを共同で開発。第2世代にあたる現行車は両社共通のプラットホーム(車台)をいすゞが開発したが、車体などは個別に設計して互いの商品特性を盛り込み、別々に開発した。ディーゼルエンジンも自社製品をそれぞれ搭載するなど、「部品共通化によるコスト削減効果は大きくなかった」(いすゞ広報部)。

 第3世代となる次世代車も両社は共同開発することで2014年9月に合意。いすゞがGMの車両開発も担うことで部品の共通化を進める狙いがあったが、開発が進むにつれ両社が求める商品性の違いが顕在化。いすゞは従来通り商用車としての特徴を伸ばすことを求めたが、「GMは乗用車の要素を取り入れることを望んだ」(いすゞ幹部)。結果的にGMからの申し出を受ける形で共同開発を中止し、いすゞが単独で開発することで合意したという。

■分かれる市場の評価
 現行車の販売台数は、いすゞが派生車を含め30万台以上。GMは数万台にとどまり、市場の評価は分かれる。いすゞ幹部は販売見通しなどを踏まえ、「GMが事業採算性を考えた時に共同開発では難しいと判断したのではないか」と推測する。

 いすゞはタイやインドなどでも車両開発を進めており、開発リソースが不足する状況が続く。共同開発を途中で止めたことで開発陣に余剰が出るより、「GM向け車両の開発担当者を自社製品の開発に振り向けることができ、助かった面もある」(いすゞ幹部)と本音をのぞかせる。

■マツダにOEM供給へ
 一方、いすゞはマツダに次世代ピックアップトラックをOEM供給することで7月11日に基本合意。供給は年約5万台とGMの販売台数に匹敵する規模を見込む。マツダはOEM調達への切り替えでピックアップトラックの自社生産から撤退する。同社の小飼雅道社長は「得意ジャンルで最高の技術を織り込むにはしっかりとしたリソースが必要になる。身の丈を超えた無理、背伸びはできない」と述べた。

 いすゞとマツダは商用車と乗用車で事業は異なるが、中堅自動車メーカーにとって選択と集中を進め、限られた開発資源を有効活用できるかが、グローバル競争を勝ち抜く重要な要素と言えそうだ。

最終更新:8月4日(木)15時30分

日刊工業新聞電子版