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日銀の金融緩和入門-「総括的な検証」前に振り返る非伝統的手法

Bloomberg 8月4日(木)9時6分配信

日本銀行の黒田東彦総裁は2013年の就任時にデフレ克服を誓ったが、3年以上経過した今もそれは実現していない。2%の物価目標を達成するためには何が必要かを明らかにするため、従来の金融政策の「総括的な検証」に乗り出すことになった。

1990年代初めのバブル崩壊以来続く日本経済の低迷。歴代の日銀総裁は何とか打開しようと、「非伝統的な」金融政策に取り組んできた。量的緩和を最初に試みたのは速水優総裁だった(下記グラフのピンク色部分)。黒田総裁は就任するとさらに大胆な緩和に突き進んだ(黄色部分)。

「検証」で何を期待

黒田総裁は2日、政策の検証は金融緩和を縮小させるものではないと言明した。また7月29日の金融政策決定会合後の記者会見では、2%の物価目標を変更する考えはないと述べ、検証はその早期達成に「何が必要かという観点から虚心坦懐(たんかい)に検討する」と説明した。

日銀は現在、以下の政策を展開している。

1. 量的質的金融緩和

日銀による国債買い入れは黒田総裁の下で始まったのではななく、以前から続いている政策だ。黒田総裁は就任後最初に臨んだ13年4月の金融政策決定会合で、さまざまなプログラムを組み合わせた上で、国債買い入れ額を倍増させた。

2.マイナス金利

今年2月には、金融機関が日銀に預けている当座預金残高の一部に0.1%のマイナス金利の適用が始まった。7月15日までの1カ月間でみると、25.7兆円にマイナス金利が適用されている。

マイナス金利の導入が1月に発表されて以来、金利の低下がさまざまな分野に広がっている。銀行収益を下押し、国債金利もマイナスとなっている。政策の狙いは、金融機関の収益に過大な打撃を与えずに貸し出しや借り入れ需要を後押ししようとするものだったが、反発は予想外に大きく全国銀行協会会長が注文を付ける事態にもなっている。

さらに、黒田総裁の前任の白川方明総裁の時代から、さまざな貸し出し支援プログラムも実施している。その一つである成長支援資金供給・米ドル特則(企業の海外展開を支援するため、最長4年の米ドル資金を金融機関経由で供給する制度)の総枠を 240 億ドル(約 2.5 兆 円)に倍増させることや、金融機関に対する米ドル資金供給オペに関し、担保となる国債を日銀当座預金を見合いとして貸し付ける制度の新設を、7月の会合で決めている。

James Mayger

最終更新:8月4日(木)9時6分

Bloomberg