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露骨な「兵糧攻め」 政権、島尻氏落選で方針転換 沖縄県は冷静さ保つ

琉球新報 8月5日(金)5時2分配信

 菅義偉官房長官らによる米軍基地と振興政策の「リンク」容認発言で4日、沖縄県内に激震が走った。官邸による初めてのリンク論明言について政府関係者は、島尻安伊子前沖縄担当相が参院選で落選した事に起因すると指摘した上で、淡々とこう語った。「沖縄に関して失うものはない。(もう後戻りできない)ルビコン川を渡ったのだから」

 リンク論容認への転換の背景について、官邸関係者は「基地とリンクするとか、しないということが厳密には問題ではない。予算を減らすことが目的だ」と解説する。

 関係者は、昨年の2016年度予算編成まで官邸を中心に予算を削減する方向で調整していたが、島尻氏の沖縄担当相就任によって「事情が変わった」と打ち明ける。16年度予算は、14年末に就任した翁長雄志知事が初めて編成に関わった予算。官邸は当初から沖縄振興での知事への「兵糧攻め」を考えていた。

 別の官邸関係者はリンク論について「パンドラの箱だった」と語る。菅氏は参院選直後、従来からの方針通りに振興を進めることについて否定的な考えを内閣府沖縄担当部局の幹部に伝え、ついには4日の記者会見で質問に答える形で自ら基地と振興のリンクを持ち出した。

 ただ、「リンク論」の理屈付けは準備が整っていなかった。菅氏の発言前、ある関係者はリンク論の容認について「国会答弁の形になるのか、時期は分からないが政府方針を改めて(リンク論を)出すことになる」と語り、リンク論の容認はまだ先になると見通しを語っていた。そのため、従来から政策を転換する理屈は整わず、菅氏が記者会見で急きょ持ち出したのが「跡地利用」との関連性だったと事情を明かす。

 一方、こうした国の強硬姿勢にも県は冷静さを保っている。県幹部は「原発を受け入れる自治体への電源交付金はまさに振興策とリンクしている。だが、沖縄振興特別措置法はそういう事情でできたものではない」と沖振法の性格を指摘する。その上で「一つ一つに批判して声を上げるよりも、しっかり法の趣旨に基づいて必要額を訴えることが大事だ。政府も冷静になって考えて正常化を考えた方がいい」と語った。

 翁長知事は10日、次年度予算と税制改正の要請で上京し、政府と折衝する考えだ。県と政権幹部が直接顔を合わせる予算折衝で両者の発言が注目される。
(池田哲平、島袋良太)

琉球新報社

最終更新:8月5日(金)10時14分

琉球新報