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炭素複合材料を合成、燃料電池のコストを節減へ――レアメタルを使わず、白金触媒の性能に迫る

EE Times Japan 8月5日(金)10時38分配信

■溶液中でプラズマ発生、2つのカーボン素材を複合化

 芝浦工業大学材料工学科の石崎貴裕准教授は2016年8月、常温環境下のソリューションプラズマ処理で、窒素含有カーボン(NCNP)とカーボンナノファイバー(CNF)からなる炭素複合材料「NCNP-CNFコンポジット材料」の合成に成功したことを発表した。燃料電池の正電極触媒として実用化できれば、白金などを使った場合に比べて部材コストの低減が可能になるという。

【開発した材料と従来の白金担持カーボンとの長期安定性やメタノールに対する耐久性を試験したデータ例】

 次世代電池として、より大きな容量を得ることができる金属空気電池や、既存の燃料電池の高機能化技術などの開発が注目されている。この中で、正極触媒には触媒性能などの点で、白金など高価なレアメタルを用いることが多い。また、従来はNCNPを合成するために、真空プロセス/高温処理などが必要となるなど、コスト高の要因となっていた。

 今回の研究では、常温環境下のソリューションプラズマ反応場である有機溶媒中に市販のCNFを混合し、ソリューションプラズマ処理を行った。これによって、NCNPとCNFからなるNCNP-CNFコンポジット材料を合成することに成功した。

 特に、レアメタルを使わずに常温環境下で合成を可能としたことで、製造コストを低減することが可能となった。開発したNCNP-CNFコンポジット材料の触媒性能を評価したところ、白金担持カーボンと比べて触媒能(電位)は下回るものの、触媒活性(電流値)は同等レベルにあることが分かった。

 これに対して、長期安定性やメタノールに対する耐久性は、開発したNCNP-CNFコンポジット材料が、現行の白金担持カーボンを上回る特性を示すことが分かった。

 芝浦工業大学は、今回の研究成果をベースに、企業などと連携して材料の応用や実用化に向けた研究を行っていく予定である。

最終更新:8月5日(金)10時38分

EE Times Japan