ここから本文です

第47回 単位の世界「テビ」と「テラ」 この違いを知ってますか?

ITmedia エンタープライズ 8月5日(金)13時23分配信

 「注文住宅」と「建売住宅」――私が時々使っている例えです。同じIT業界でも、アプリ開発の世界はパッケージ製品を活用してインタフェースや操作性に力を入れるのが最近の主流です。これは、ベースは建売住宅で、内装にこだわるようなものでしょう。

【画像:“テラ”で10%の誤差が出る1000バイト換算と1024バイト換算】

 しかしながら、私たちが籍を置くITインフラの世界は、まだまだ注文住宅が主流。ハイパーコンバージドやパブリッククラウドなど、建売のような新しい形のITインフラも登場していますが、全体から見ればまだまだ微々たるもの。“SIベンダー”というプロの職人さんと幾度となく打ち合わせを繰り返し、場合によってはNIC(ネットワーク・インタフェース・カード)のチップメーカーまで部材指定するような、バリバリの注文住宅の世界です。

 この注文住宅型のITインフラで、最も重要になるのが「サイジング」です。今回は、この辺りについて考えてみましょう。

●「i」(アイ)があるかないかだけで命取りとなる時代

 「サイジング」という言葉は、アパレル業界でも使われるそうです。ITインフラでは主に、必要なハードウェアリソースを決めるための設計作業のことを指します。例えば、サーバの場合、「1台あたりの内訳(スペック)」と「何台用意すれば良いのか(台数)」などです。

 その後、サイジングで算出した数値に準じてハードウェアを購入していきますので、この作業はとても重要になります。数値が多い分には良いですが、見込みが甘く、リソース不足になると、パフォーマンストラブルにつながります。このような場合、若干の不足であればソフトウェアの設定でカバーできるかもしれませんが、基本的にはハードウェア追加が必要。もちろん、有償です。

 ベンダーのアーキテクトも人間ですので、納期に追われて徹夜で設計を仕上こともしばしば。人的ミスも起こり得ます。桁を1つ間違えるのはもちろん、ほんの小さな聞き間違いも命取りです。

 ここで、最近よくある例をご紹介しましょう。

 誰もが経験するストレージの容量見積りです。「データ爆発時代」と言われ、PCを含めてテラバイトくらいのディスクストレージが普通に手に入るようになりました。

 そこで重要になってくるのが「TB(テラバイト)」と「TiB(テビバイト)」。

 「キロ」では「1000バイト」「1024バイト」で2%の差が出ますが、許容範囲とされます。しかし、テラ(TB・TiB)の世界になると、差は10%にまで広がります。

 消費税が8%になって2年が経ちましたが、買い物の際、「予想以上に高かったな……」と感じた経験はないでしょうか?

 この感覚と同じです。10%の誤差は予想以上に大きく、クリティカルなものになります。運用でのカバーも限界があり、“容量不足”のトラブルが実際に起きてしまっている状況です。

 このミスの責任は、プロでありながらきちんと確認しなかったベンダー側にあるでしょう。しかしながら、もめ事は控えたいところ。「1人あたり40“ギガ”ほしいな」とか、「全部で10“テラ”ほしいな」とか、口ではキロ・メガ・ギガ・テラと言ってしまいますが、実際に意図しているのは1024バイト換算されたキビ・メビ・ギビ・テビであることがほとんどではないでしょうか。

 最低でも文書ベースでは、1000バイト換算なのか、1024バイト換算なのかなどを明確にしておきたいところです。

 繰り返しますが、テラの世界では10%の誤差。「10TB=9TiB」。たかが単位、されど「単位」です。

最終更新:8月5日(金)13時23分

ITmedia エンタープライズ