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人気の子育て支援タクシーが需要増 採算性が課題、助成制度に期待

埼玉新聞 8月5日(金)10時30分配信

 子育て世代に優しいタクシーが人気だ。保育園や塾に通う子供が1人でも安心して利用できることから、共働き世帯の増加傾向を背景に埼玉県内でも需要が高まっている。地域の子育てを応援しようと、全国子育てタクシー協会(横浜市)では「子育てタクシー」(登録商標)として普及を図っているほか、「キッズタクシー」などの名称で独自のサービスを展開する会社もある。

■子供1人でも安心

 「お迎えに上がりました」。午後2時半ごろ、さいたま市内の保育園に大宮自動車(同市大宮区)のドライバー根岸亮平さん(31)が到着すると、女児が元気良く駆け寄ってきた。女児は両親が共働き。これから学習塾へ向かうため、1人でタクシーに乗る。

 「子育てタクシー」のハンドルを握れるのは、全国子育てタクシー協会の加盟社で、協会指定の養成講座を受講したドライバーに限られる。根岸さんは保育士から荷物を受け取ると、専用のステッカーが貼られた車まで女児をエスコート。優しく丁寧にチャイルドシートに乗せた。「少しでも、忙しい親御さんのお役に立てればうれしいです」

■地域貢献を実感

 全国子育てタクシー協会は、2006年6月に設立。地域の子育て支援団体と連携しながら、「子育てタクシー」の普及を図っている(基本的に通常のタクシー料金で利用可)。大宮自動車は地域貢献の一環で12年から協会に加盟。共働き世帯を中心に需要は年々拡大し、現在の登録数は約1900件、利用は年間1千件を超える。

 ドライバーの養成費用やチャイルドシートの購入費などを踏まえると、単独ではほとんど利益が出ていない。それでも小谷英嗣専務は「子育て世帯のサポートを通じて地域貢献を実感できるので、乗務員の仕事に対するモチベーションが上がった。企業のイメージアップや子供の送迎以外の利用増にもつながっている」とメリットを話す。

 一方、つばめタクシー(さいたま市浦和区)では「キッズタクシー」と称して、独自のサービスを展開(30分2980円)。同社は「もともとは“陣痛タクシー”だったが、顧客ニーズに応じて始めた。利用は年々増えている」という。

■自治体も後押し

 子育て支援サービスを行うタクシー会社は、大手を中心に増加傾向にある。同協会の担当者は「女性活躍推進の観点からも重要な取り組み」と話す。ただ、採算が合わないなどの理由から、まだ大半が手掛けていないのが現状だ。今年3月末時点の同協会加盟社は29道府県で133社、埼玉県内では6社にとどまる。

 事業者の参入を促そうと、山形県や秋田県、岐阜県などの自治体では助成制度を導入。沖縄県ではドライバーの養成費用についても、一部を助成する制度を始めた。

 同協会と連携している「認定NPO法人子育て支援みるく」(越谷市)の青木照代代表は「2人目、3人目の出産を控えた女性は、夫が仕事中に陣痛が来ることを考えると、不安に感じる人が多い。安心して産んでもらうためにも、タクシーの子育て支援サービスは必要。各自治体が母子手帳と一緒にタクシーチケット(費用は自治体が負担)を交付するなどの助成を行えば、取り組みが広がるのでは」と話している。

最終更新:8月5日(金)10時30分

埼玉新聞