ここから本文です

減らぬサザエ密漁、告訴を徹底 摘発10年で2.7倍、漁獲は減

福井新聞ONLINE 8月5日(金)17時30分配信

 福井県内沿岸で漁業権を持たないレジャー客らがサザエやアワビ、ウニを採り、県警や海保に摘発されるケースが近年増加している。昨年は55件79人が摘発され、人数は10年前に比べて2・7倍に増えている。漁業権を持つ県内各漁協が、違法行為に対する姿勢をより厳しくしていることが背景にある。稚貝の放流など資源育成に努めるものの漁獲高の減少は続いており、漁協関係者は「サザエ1個でも密漁は密漁。漁業権の侵害になるので注意してほしい」と呼び掛けている。

 県の調査によると、2005年に29人だった摘発は年々増加し、12年は107人、14年は108人と100人を超えた。昨年は79人に減少したものの、今年も夏のレジャーシーズンを迎えて県警、海保、県いずれもが海上、陸上双方からのパトロールを強化している。

 摘発増加の背景には、漁協の違法行為に対する厳格化がある。密漁は被害者に当たる漁協の告訴が前提となる親告罪。これまでは漁家民宿を経営する漁業者を組合員に抱える漁協側が、宿泊客が貝類を採っても客離れを懸念し告訴を見送る例が多かった。

 一方で、県内のサザエの漁獲量は減少。07年の262トンから14年は123トンに減った。各漁協はサザエやアワビの稚貝を毎年放流しているが、高値のアワビも近年は15トン前後で横ばいが続いている。年によって気候の影響があるが、密漁の横行も一因として08年からは県内の全13漁協と県、取り締まり機関などが対策協議会を結成して防止策を強化してきた。

 県によると、今年4月までに県内の全漁協が密漁行為には告訴で臨むことで合意。漁家民宿が多い嶺南地方では意見の取りまとめに時間がかかった漁協もあったが、「海の資源を守る観点から長い目で見ると決して漁業者にとって不利ではない」(県水産課)として県内の足並みがそろったという。

 今年も海水浴シーズンを迎え、福井市の越廼漁協の林茂参事は「罪の意識なくサザエを採ってしまうレジャー客も多いが、サザエ1個でも漁業者の生活の糧になっていることを知ってもらいたい」として、ルールの周知徹底の重要性を訴えている。

 ■漁業権

 漁業法で福井県内沿岸のほぼ全域に漁業権が設定されており、漁業者以外が定置網や養殖施設の中で釣りをしたり、定着性の水産動植物(サザエ、アワビ、ウニ、ワカメ、タコなど)を採ったりすると漁業権の侵害となる。漁業権を保有する漁協から告訴されると、20万円以下の罰金が科される場合がある。

福井新聞社

最終更新:8月5日(金)17時38分

福井新聞ONLINE