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宇宙に現れた神の目。重力レンズ天体「ホルスの目」

ギズモード・ジャパン 8月5日(金)23時40分配信

神の目は、宇宙の歴史を映すのか。

すばる望遠鏡が撮影したデータの中から、極めて珍しい重力レンズ天体が発見されました。国立天文台の研究チームはこの天体を、古代エジプトの神聖なる神の目にちなんで、「ホルスの目」と名付けました。

「ホルスの目」が見つかったのは、大学生向けの「すばるの学校」という授業を行っていた時のことです。超広視野主焦点カメラが撮影した画像を調べる中で、その特徴的な形に気付いたそうです。トップ画像を見ると、眼球に例えられた中央の天体だけでなく、まるで1つの天体であるかのごとく、白目のようにそれを囲む形で2つの円弧状の天体があるのが見てとれます。

これら2つの円弧状の天体は、実際は中央の天体の背景にある銀河なのですが、重力レンズ効果のおかげでこのように見えているのです。この現象はハッブル宇宙望遠鏡がAbell S1063という銀河団を観測した時にも見られました。図解すると、このとおり。

重力レンズ効果とは、手前にある銀河に周りの光を歪ませられるほどの重力があると、その背景にある別の銀河から来る光が大きく曲げられ、手前の銀河の一部分のような形で現れる現象のことです。通常、その効果を受けるのは背景にある1つの銀河なのですが、「ホルスの目」の場合は非常に珍しいことに、2つの銀河が重力レンズの効果を受けています。1つは距離90億光年、もう1つは105億光年にあります。

すばる望遠鏡は現在、空の非常に広い領域をいまだかつてない精度で観測する大規模なプロジェクト「戦略枠プログラム」を実施中です。「ホルスの目」が見つかったのも、この大規模観測で得られたデータからでした。観測はまだ30%しか終わっていないので、さらなる重力レンズ天体が見つかるのではないかと考えられています。

重力レンズ天体は、銀河がどのように膨張してきたのかわかる手掛かりとなるので、宇宙の歴史を紐解く鍵となります。今後の発表が期待されます。

Image: 国立天文台
Source: すばる望遠鏡
Ria Misra - Gizmodo US

最終更新:8月5日(金)23時40分

ギズモード・ジャパン