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性急なTHAAD配備予定地決定が裏目に…朴大統領の方針転換も拙速

ハンギョレ新聞 8/5(金) 21:09配信

「星州郡内で第3の候補地を検討」と発言し波紋広がる 大統領府「住民とのコミュニケーション強化を強調」 敷地移転に拡大解釈されるのを警戒 「あり得ない」とした国防部方針に反する 野党「性急な決定であることを端的に示す」 実際に移転する場合、追加の敷地整備工事が必要 「配備するかどうかも不透明になった」との見通しも

 朴槿恵(パククネ)大統領が4日、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備が決定した慶尚北道星州(ソンジュ)の星山(ソンサン)砲隊の代わりに、星州郡内の他の地域に砲隊の駐屯地を移転することもあり得るとの立場を明らかにしたことで、発言の背景と実行可能性に注目が集まっている。朴大統領の同日の発言は実際の移転の可能性よりは、住民とのコミュニケーションの強化を強調する原則的なレベルの発言というのが大統領府の説明だ。しかし、今回の大統領の発言は、国防部が再三示してきた「(星山砲隊以外の)他の地域への配備はあり得ない」とした方針に反するため、波紋が広がっている。野党はTHAAD配備が性急な決定だったことを自ら認めたものだと批判した。

 朴大統領は同日午前、大統領府でセヌリ党の大邱(テグ)・慶尚北道地域の初当選・再選議員たちとの会合で、星州住民たちがTHAADによる電磁波の有害性について懸念しているとの話を聴き、「(星州)郡が推薦する地域があるなら、星州郡内に新しい地域を綿密かつ精密に検討・調査するようにする」と述べたという。これまでキム・グァンヨン慶尚北道知事と一部与党セヌリ党の国会議員らは、THAADが星山砲隊に配備されれば、レーダービームが星州郡の中心部を貫通することになるとの住民たちの憂慮の声を取り上げ、星州郡内の他の地域を検討することを大統領府側に要請してきた。また、朴大統領は「綿密かつ精密に検討・調査し、基地の適合性の結果を星州郡民たちに詳しく知らせる」と述べたと、出席者らは伝えた。THAAD配備を決定する前に地域住民との協議が全くなかったという批判を意識し、「住民たちの声に耳を傾ける」意向を示したものと見られる。THAAD配備地の発表以降、「政治的故郷」の大邱・慶尚北道地域で、朴大統領の支持率が下落を続けている点も負担になったとされる。

 しかし、大統領府側は朴大統領の発言の重点は、「新たな地域」ではなく、「検討・調査」にあると強調している。大統領府関係者は「国家安保のためにはTHAAD配備が避けられないという朴大統領の考えに変わりはない」としたうえで、「星州住民たちが他の地域を推薦すれば、これを綿密に調査し、住民に可能かどうかを知らせるということであって、砲隊の移転を検討するという意味ではない」と話した。また、他の関係者も「地域住民とのコミュニケーションを強調しただけ」だとし、拡大解釈を警戒した。住民たちの「推薦」を受けて「調査」したにもかかわらず、星山砲隊のほかに代案がなければ、これを地域住民に知らせてからそのまま推進するということだ。この場合には「星州郡民たちとの協議に基づいた配備」という形になることも念頭に置いているものと見られる。

 しかし、こうした分析にかかわらず、大統領が公の場で述べた発言という重みを考えると、その波紋は少なくなさそうだ。 何より政府が「第3の候補地は絶対あり得ない」との方針を覆したことになり、当初THAAD配備地の決定が「性急」だったという批判を免れなくなった。国防部は先月25日、キム・グァンヨン慶尚北道知事などが「第3のTHAAD候補地」を取り上げたという報道が出たことを受け、直ちに立場を表明する報道資料を発表し、「国防部の敷地可能性の評価基準により実務レベルで検討した結果、適合しない要素が多く発見された」として、「第3の候補地はあり得ない」ことを明確にした。国防部が同日、大統領の一言で「第3の候補地を検討できる」と立場を覆したのも、矛盾した行動と指摘されている。

 野党は政府の「足並みの乱れ」を批判した。国民の党は同日、論評を通じて「これまで星州の星山砲隊が最適地だと主張してきたのに、星州郡内の他の地域に変更できる余地を残しているのは、最適地にTHAAD配備を行うといった政府の立場を事実上翻したもの」としたうえで、「大韓民国のどこにもTHAAD配備に適した場所はなく、政府はTHAAD配備を撤回しなければならない」と主張した。共に民主党のキ・ドンミン院内報道官は国会ブリーフィングで「大統領が立場を翻したのは、THAAD配備地の決定がいかに性急に行われたかを端的に示す行動」と批判した。

 一部では、朴大統領がTHAAD配備地の移転可能性を公論化しただけでも、THAAD配備を危ぶむ声が上がっている。軍関係者は「当初、THAAD配備と関連して『第3の候補地』が取り上げられる度に強く否定し、従来の星州の星山砲隊への配備を固守していたのは、一歩でも引けばTHAAD配備そのものが無期限に延期されかねないと判断したから」だと話した。

 軍周辺では、もしTHAAD配備地域の移転が推進される場合、行政手続きなどが順調に進められても、当初、韓米両国政府が計画した「来年末までのTHAAD配備」は実現が難しくなるというのが大方の見通しだ。星州内に新しい敷地を決めたとしても、従来の星山砲隊とは異なり、THAAD配備に向けた追加工事が避けられないからだ。今回のTHAAD配備合意のもう一方の当事者である米国が、どういう反応を見せるかも不透明だ。米国としては、両国が公式合意した星州星山砲隊へのTHAAD配備を韓国が一方的に他の場所に移転することに対し、批判的な態度を取る可能性が高い。

チェ・ヘジョン記者、パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:8/5(金) 21:09

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