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【コラム】スピッツやBRAHMANら参加。夏の始まりに聴く『ソウル・フラワー・ユニオン & ニューエスト・モデル 2016 トリビュート』

RO69(アールオーロック) 8/5(金) 7:00配信

ソウル・フラワー・ユニオンの前身バンドのひとつであるニューエスト・モデルが、1986年の結成から今年で30周年を迎えている。ソウル・フラワー・ユニオンの定例ツアーでは、大半がニューエスト・モデル曲のアニバーサリー仕様セットリスト(6月の東京公演はすごい盛り上がりだった)となっており、9月にも引き続き開催。7月には最新リマスター音源を使用した『THE BEST OF NEWEST MODEL 1986-1993』もリリースされた。

ニューエスト・モデルは1993年に盟友メスカリン・ドライヴと合体し、ソウル・フラワー・ユニオンとなって現在に至る。名曲名演は星の数といったところだが、今回のコラムでは8月3日リリースの『ソウル・フラワー・ユニオン & ニューエスト・モデル 2016 トリビュート』を取り上げたい。超豪華な参加アーティストの顔ぶれが、2つのバンドの影響力を浮かび上がらせるコンピレーションだ。

まずは、バッキバキのパンクバンドとしてスタートしたニューエスト・モデルの方が当時影響を受けたという、the 原爆オナニーズの“オモチャの兵隊”がいきなり胸熱である。この曲は1986年、ニューエスト・モデルが1stソノシートとしてリリースした。BRAHMANのTOSHI-LOWはソウル・フラワー・ユニオンとの対バンの際にニューエスト・モデルの衝撃についてユーモラスに語っていたが、今回は“エンプティ・ノーション”あたりで来るかと思いきやこれは怒髪天がカバー。最新ベストにも収録されていない“ソーシャル・サービス”で思い入れごと爆発している。

大森靖子のキッチュで愛らしい“ソウル・サバイバーの逆襲”や、フラワーカンパニーズの乾いたロール感による“そら~この空はあの空につながっている”、艶っぽい歌謡テイスト全開の中田裕二“青天井のクラウン”あたりは、それぞれに持ち味をしっかりと織り込んだカバーが秀逸だ。仲井戸麗市“最前線ララバイ”は渋い選曲だが、ソウル・フラワー・ユニオンの本質を抉り出している。そして二階堂和美による“満月の夕”は、哀しみと慈愛に満ちた文句なしの名演である。

最も驚かされるのは、ニューエスト・モデルの翌年に結成されたスピッツの“爆弾じかけ”だろう。現在進行形のスピッツのまま、パンクスピリットを燃え上がらせるというアクロバティックなパフォーマンスで、ストレートにニューエスト・モデルからの影響の大きさを伝えている。そうでなければ“爆弾じかけ”という選曲にはならない。すごい。

それ以外にも、MONGOL800、岸田繁(くるり)、チャラン・ポ・ランタン、曽我部恵一、七尾旅人といったアーティストたちが名を連ねる、濃厚なトリビュートアルバムだ。ニューエスト・モデルからソウル・フラワー・ユニオンにかけて、新たな音楽性を次々に取り入れながら幾多の名曲が生み出されてきたけれど、一貫して市井の人々の生活に寄り添い、ともに怒り、悲しみ、笑うための歌だけを紡いできた。そのことが、今回のトリビュート盤からも伺える。ぜひこの8月、じっくりと向き合ってみてほしい。(小池宏和)

RO69(アールオーロック)

最終更新:8/5(金) 7:00

RO69(アールオーロック)

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