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夏の白山に「救いの神」 最終バス乗り遅れ迎えに、金沢の男性「心底感謝」

北國新聞社 8/5(金) 3:20配信

 7月下旬に白山に登った薬剤師福村繁一さん(77)=金沢市三口新町1丁目=が、夏山で助けられた見ず知らずの男性に感謝の思いを募らせている。男性は駐車場から車で引き返し、下山途中に熱中症の疑いで思うように歩けず、登山口を出る最終バスに乗り遅れた福村さんを迎えに来てくれた。福村さんは「心の底から感謝している」と、名前も言わず立ち去った男性を探している。

 福村さんは7月24日早朝から一人で白山に登り、午前11時20分ごろ登頂した。順調に下山していたが、南竜分岐(標高約2千メートル)付近から足元がおぼつかなくなり、何度も尻もちをついて、追い抜いていく登山客から「大丈夫ですか」と声を掛けられる状態だった。

 夏山シーズンの登山客は、市ノ瀬の駐車場に車を止め、登山口の別当出合までバスで行き来する。午後5時、福村さんが別当出合の見える高台にたどりついたころ、市ノ瀬行きの最終バスが出発した。

 別当出合から市ノ瀬まで約6キロの距離は、もうろうとする福村さんの身にこたえた。1時間余り歩き、路肩で休んでいると、金沢ナンバーの青っぽい車が止まった。運転席から顔を出した30歳前後の男性に「心配で迎えに来ました」と声を掛けられた。

 福村さんによると、男性は下山中に転ぶ福村さんを目撃していた。最終バスに姿がなかったため、市ノ瀬の駐車場で車に乗って引き返したという。福村さんは「ズボンが泥まみれで車が汚れる」と遠慮したが、男性は「気にしないでください」と乗車を促した。

 福村さんは市ノ瀬の駐車場のどこに自分の車を止めたのかもよく覚えていなかった。男性は福村さんに付き合って駐車場内を巡り、車が見つかると「一休みしてゆっくりお帰り下さい」と言い残して立ち去った。

 帰宅後、福村さんは男性に十分な礼が言えなかったことを悔やんだ。車のナンバーを手掛かりに白山署や金沢市の北陸信越運輸局石川運輸支局に問い合わせたが、個人情報を理由に回答を断られた。

 福村さんは「暗くなるまで歩いていたら、大けがをしていたかもしれない」と振り返る。「何という神の恵みか。感謝してもしきれない」。見知らぬ若者から受けた善意を日記にこうつづった。

北國新聞社

最終更新:8/5(金) 3:20

北國新聞社