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米大統領選挙で活発化する「ウォール街潰し」

ZUU online 8月6日(土)6時10分配信

民主党大統領候補選では、ヒラリー・クリントン前国務長官に敗れたバーニー・サンダース上院議員だが、「貪欲で、向こう見ず、そして違法なウォール街の好き放題ぶり」を取り締まる熱意は今も燃え盛っている。

7月26日から4日にわたり開催された民主党全国大会では、クリントン氏への支持を表明したものの、以前から「クリントン氏とウォール街の密接な関係」を非難しており、少なくとも金融機関の規制という点では、クリントン氏には任せておけない心境のはずだ。

皮肉なことに、サンダース氏が毛嫌いしている共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏の方が、「銀行潰し」に関しては、クリントン氏よりも頼もしい同士になりそうだ。

■「米史上初の女性候補」は影のウォール街支援者

指名獲得を目指して、対立候補者のクリントン氏と激戦を繰り広げたサンダース氏。圧倒的な支持率を誇っていたにも関わらず、終盤にかけてクリントン氏が追いあげ、最終的には「米史上初の女性候補」に兜を脱ぐ無念の展開となった。

予備選挙選に関しては、サンダース氏に不利に働くことを意図した画策が、ヒラリー氏を支持する民主党指導部内で行われていたというスキャンダルも世間を騒がし、党内が真っ二つに分断されているとの懸念も持ちあがっていた。

しかしサンダース氏が自らの支持者たちに「ヒラリー氏に一票を投じるように」と呼びかけ、表面上は一件落着というかたちでおさまったようだ。

「表面上は」というのは、サンダース氏は大の反ウォール街派で知られており、「テイク・オン・ウォールストリート」という組織を結成して、銀行に対する規制強化を呼びかけている政治家の一人だからだ。

「民主党は主要金融機関の粉砕を要請する」と声を荒げ、1999年に廃止された金融機関規制法(銀行業務と証券業務の境界性を明確に示すなど、銀行が巨大化するのを防ぐ目的で1933年に設立された。)「グラス・スティーガル法」に代わる、新たな規制法案を提案している。

対するヒラリー氏は、グラス・スティーガル法の復活という点などではサンダース氏と同じ意を掲げているが、けっして反ウォール街派というわけではない。むしろサンダース氏や、大統領選のライバル、ドナルド・トランプ氏から、「銀行から何百万ドル(約何億円)という大金を稼いでいる」と非難されている。

■議会という盾があるウォール街は冷静な反応

クリントン氏はウォール街を循環する現金に、極力無関心をよそっている。

しかしゴールドマン・サックスを筆頭とする大手企業で講演会などを開催し、報酬を受けとっていること、今回の大統領選に向けたキャンペーン活動期間だけでも、4100万ドル(約41億8405万円)という多額の寄付金が銀行から流入していることなどが、米非営利リサーチ機関、Center for Responsive Politics (CRP) の報告からも明らかになっている。

要するに、クリントン大統領が誕生すれば、サンダース氏は「銀行潰し」の野望から一歩も二歩も遠のくことになりかねない。

一方、サンダース同様、巨大化したウォール街に反発心を露わにしているトランプ氏は、ヘッジファンド・マネージャーを「合法的な殺人犯」と罵倒するなど、大統領になったあかつきには、徹底的な銀行潰しに取りかかる構えである。

そんな非ウォール街の不穏な動きにも、ウォール街自体は冷静そのもの。

なぜならば、グラス・スティーガル法の復活、あるいはそれに代わる新たな法案を設立するにしても、議会の承認なしで通過させることは不可能であり、共和党が賛成の意を示すとは予想しがたいからだ。

つまり例えトランプ氏やサンダース氏自身が大統領に就任したとしても、銀行潰しは不可能だということになる。

しかし最新の世論調査では、75%の米国人が「ウォール街に規制強化が必要」と感じていることが明らかになっており、銀行は「議会に守られている」などと胡坐をかいていると、思わぬところで足元をすくわれるかも知れない。(ZUU online 編集部)

最終更新:8月6日(土)6時10分

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