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【東京五輪】追加競技の憂うつ「勝てる保証なし」「スポンサー獲得急務」「選手育成」

東スポWeb 8月6日(土)6時12分配信

 国際オリンピック委員会(IOC)は3日(日本時間4日)、リオデジャネイロで開いた総会で、2020年東京五輪の追加種目として大会組織委員会が提案した5競技18種目を一括承認した。野球・ソフトボールが08年北京五輪以来、3大会ぶりの復帰が正式決定したほか、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンが五輪初採用となった。各競技の関係者は悲願達成を喜ぶ一方で、4年後に迫った本番に向けて早くも頭を抱えている。

 開催都市が追加種目を提案し、IOCが承認する方式は今回が初めて。IOCのトーマス・バッハ会長(62)は「五輪プログラムの革新という意味では画期的な出来事」と述べた。

 念願がかなった各競技の関係者は一様に喜びをあらわにしたが、浮かれてばかりもいられない。特に危機感を募らせていたのが、森内閣での大臣経験もある全日本空手道連盟の笹川堯会長(80)だ。

 東京五輪では発祥国として金メダル獲得は半ば義務となるが、前回2014年の世界選手権では組手の男女各5階級で金メダルはたったの1個。五輪では各3階級に減るため、さらに影響が出るのは必至で、笹川会長は「どこで(階級を)区切るのか。いろんな国の利害関係が入ってくる。形といえども日本が勝てる保証はない」と楽観ムードにクギを刺す。

 選手の選考方法も悩みの種だ。五輪では各階級10人という少人数によって争われる。開催国枠で1人を確保しても、残り9人はどうなるのか。選考基準やルールは10月の世界空手連盟の理事会で決まる予定だが、日本人が多数出場することは難しい。「多くて2人になるだろう」(関係者)との見通しで、国内争いはシ烈を極めそうだ。

 現時点で24年五輪での継続採用の保証はない。東京五輪だけで終わってしまえば、競技の普及にもつながらない。笹川会長は「なるべく種目を少なくして、大勢を入れたいのがIOCの考え方。人脈がないとダメ」と話し、ロビー活動の継続を訴える。

 スポーツクライミングも課題は山積だ。まずは認知度を上げることが急務で、同競技を統括する日本山岳協会の尾形好雄専務理事(68)は「国際連盟会長にも、もっと日本で幅広く周知してほしいと言われている。国際大会を開き、世界トップのすばらしさを見ていただきたい」と意気込む。これまで隔年開催だった国際大会を毎年開催に変える方針を示しているものの、それには先立つものが必要。1大会にかかる費用は約2500万円とされ、スポンサー獲得を目指している。

 選手強化にも不安は尽きない。スポーツクライミングにはボルダリングとリード、スピードの3種目があり、IOCからは3つを合わせた複合の男女2種目の提案を受けたという。しかし、選手を強化しようにも日本にはスピードの施設が一つもなく、高さが必要なリード施設も少ない。「新設する計画もあるが、いくつもとなると資金が必要。費用対効果を考えて(施設のある)中国、韓国で合宿することも考えている」(同専務理事)というのが現状だ。

 選手も遠征には自己負担があり、スポンサーが付く選手でも決して恵まれた環境とはいえない。世界で3500万人もの愛好者がいるスポーツクライミングだが、東京五輪に向けて「さらに機運が高まり、フォローしてくださる動きが広がるとありがたい」(同専務理事)と祈るような気持ちでいる。

最終更新:8月6日(土)6時17分

東スポWeb