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沖縄の台湾移民を写した映画「海の彼方」 家族視点で日台の歴史描く(前)

中央社フォーカス台湾 8/6(土) 17:04配信

(台北 6日 中央社)八重山諸島・石垣島に移り住んだ台湾移民の家族の物語を通じ、過去の日台の歴史を描き出したドキュメンタリー映画「海の彼方」(海的彼端)。同作を手掛けたのは、日本への留学経験を持ち、現在は沖縄を拠点とする若手の台湾人監督、黄インイク(黄胤毓)監督。今作が初の長編ドキュメンタリーとなる。同作は7月上旬、「第18回台北映画祭」(台北電影節)で世界プレミア上映された。記者は映画祭に合わせて訪台した黄監督と出演者の一人で日本でミュージシャンとして活躍する玉木慎吾さんに作品の背景、撮影秘話などについて話を聞いた。

作品の中心となるのは、日本統治時代に石垣島に移り住んだ夫に嫁ぎ、戦後の1940年代後半に台湾から同地にやって来た玉木玉代さんとその子孫たち。88歳になった玉代さんの台湾への里帰りの旅と家族の人生を通じ、複雑な東アジアの歴史を辿っていく。同作は八重山の台湾移民をテーマにしたドキュメンタリー三部作企画「狂山之海」の第1弾でもある。

「狂山之海」は2015年ベルリン国際映画祭主催の若手製作者向けプログラム「ベルリナーレ・タレンツ」のドキュメンタリー企画部門に選出。スイス・ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭のピッチングセッションでは大賞を受賞するなど、国際的にも注目されている。

◇隠された歴史

台湾移民は日本統治時代、農地開拓を目的に沖縄へ渡ったが、戦時中に台湾に強制送還される。戦争が終わると政治的問題により彼らの居場所は失われ、再び沖縄へ。移民らはそれから1972年の沖縄返還後に日本国籍を取得するまで、台湾に戻ることも出来ず、無国籍者として生き続けた。

八重山の台湾移民は「台湾の人も、日本の人も知らない隠された歴史」だと語る黄監督。監督自身、以前は大学の授業で少し聞いたことがあるだけで、具体的なイメージは無かった。だが、大学在学時に台湾在住のタイ人労働者をテーマにした作品(「五谷王北街から台北へ」)を製作するなど、かねてから民族や移民に関心を持っており、日本への大学院留学を機に、台湾移民が住む八重山に行ってみたいと思っていたという。

今作を製作する重要なきっかけになったのは、八重山で生活する台湾人の歴史を記録した書籍「八重山の台湾人」(松田良孝著、2012年に台湾でも翻訳出版)。同書を読んだ黄監督は、それが深いテーマだと感じ、2013年の中頃、実際に現地に足を運んでみることに。1年近くに及んだフィールドワークで話を聞いた人数は150人以上に上る。そして2014年の後半に作品を考案。調査から完成までには約3年を費やした。

◇「家族」の視点から

「私は堅い歴史ドキュメンタリーは撮りたくないので、各世代の人もいて、里帰りの旅もあって、という一つの大家族の家族史を通してその後ろの八重山の台湾人の歴史を語れるようにとの大きな野心を持ち、1本目(海の彼方)は製作しました」(黄)

黄監督は「家族視点の作品」にこだわりを示す。同作では玉代さんの孫の慎吾さんがナレーションを担当しているほか、玉代さんの息子で慎吾さんの父である茂治さんが撮影したホームビデオの映像も使われている。

「この作品は歴史の資料もあって、無いものはアニメーションや油絵を使ったりするんですが、もっと親密な視点を入れたかった。『家族視点の作品にしたい』。それは私の最初からの野心でした。通常は歴史を語る時、冷たい。有名人がナレーションを語るとか、全然関係無い人が話すとか。そういう系ではない作品が撮りたかった」(黄)

「玉木一家に会った時、大きな感動を覚えました。おばあさんと息子、娘達の雰囲気が良くて、映画に撮りたいと思って。家族っぽい作品にするということで、慎吾さんにナレーションをお願いし、孫の視点から話してもらうことにしました。でも、まだ足りない。歴史を語るには歴史資料が必要。それは確保するけれど、それでも何か足りない。ようやく足りるようになったのは、茂治さんのホームビデオ。数カ月の撮影の末にようやく信頼を得て、茂治さんから使用許可がもらえて。それがこの作品において私の野心を満たす大きな鍵になったと思います」(黄)

後編に続く(http://japan.cna.com.tw/topic/column/201608030001.aspx)

最終更新:8/6(土) 19:04

中央社フォーカス台湾

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

うん、核融合炉を作ったよ
核融合こそ未来のエネルギー問題への答えであり、子どもにだって世界は変えられる、テイラー・ウィルソンはそう信じています。そして彼はそのどちらにも取り組んでいます。14歳の時に家のガレージで核融合炉を作り、17歳となった今、直前の依頼に応えてTEDのステージで自分の物語を(手短に)語っています。