ここから本文です

ふくろうだけじゃない、タカもいるよ! 奈良にオープンしたふくろうカフェに行ってきました

ねとらぼ 8月6日(土)11時33分配信

 奈良県に7月、ふくろうなどの猛禽(もうきん)類16種18羽(チョウゲンボウ、ハリスホーク含む)を擁し、面積50坪と日本最大級のふくろうカフェ「ふくろうカフェならまち」がオープンした。

【カラフトフクロウのピカソ】

 規模が大きいだけでなく、ふくろうをはじめさまざまな猛禽類に触ったり、エサをやったり、飛行するハリスホークを腕に止まらせるフライト体験ができる。お店を訪れ、園長の佐藤由香さんに話を聞いてきた。

●カフェの概念を覆す、広々としたスペースと古都の趣

 「ふくろうカフェならまち」があるのは、奈良公園にほど近い、昔ながらのお店と今時のカフェが混在する商店街「もちいどのセンター街」。店内は広く奥行きのある空間で、片方の壁にはふくろうが間隔をとって一列に並び、反対側にはベンチが置かれている。カフェの奥にはふくろうやタカが羽を広げ運動するためのスペース、フライトルームがある。テーブルとイスという、一般的に想像されるカフェとは違う、広々とした雰囲気だ。

 佐藤園長は、地元の奈良で静かで駅から近いところ、そしてふくろうやタカがのびのびと運動できるフライトルームを作るだけのスペースがあるところ、そのような条件での場所探しはなかなか難しかったと語る。「50坪もの敷地を見つけるのには3~4年かかりました」

 広々としたカフェにするために、あえてテーブルは置かず、来てくれた人には歩いて自由に見てもらう。飲み物はカフェ内に設置された自動販売機で買い、疲れた人やふくろうを腕に乗せたい人だけ、ベンチに座ってもらうことにしているそうだ。

 内装は奈良の昔ながらの街の雰囲気に馴染む和風に。ふくろうの近くには奈良町の墨絵作家、糸井忠晴氏が描いた奈良の街並みの絵を展示し、伝統ある街並みの趣と融合するような店舗作りを心掛けた。「絵のどこかにふくろうがいるので、ぜひ探してみてくださいね」と佐藤園長。地元の作家との遊び心あふれるアートも楽しめる。

●夜行性、だけど元気なふくろうたちの謎

 フライトルームで、カラフトフクロウの「ピカソ」が羽ばたく様子を見せてもらった。本来ふくろうは夜行性。なぜ日中なのに元気に動いているのだろうか。

 佐藤園長によると、カフェのふくろうは人間の手で繁殖し卵から育てたふくろうで、生まれたときから人間と一緒に暮らしているので、生活サイクルがほぼ人間と同じなのだという。ふくろうたちの1日のサイクルは、夜、エサをもらった後ゆっくりと過ごし、朝には元気に園長らを迎え、そして昼間はスタッフやお客さんと遊ぶ。15時ごろに昼寝のように30分ほどウトウトするふくろうもいるが、昼間ずっと寝てるふくろうはほぼおらず、エサがもらえる夕方ぐらいになるとみんな目が冴えてくるという。

 確かにもともとふくろうは夜行性だが、昼間は森でゆっくりしていて、夜、エサを捕るときはじっと耳をすましていて、動物が動いたわずかな音を拾って、目で確認して捕りに行くため、獲物を発見したときくらいしか動かない。カフェのふくろうは夜、エサを狩りに行かなくても満腹になるため、じっと休んでいるのだそうだ。

●遊んだり、ついてきたり、表情豊かなふくろうたち

 一般的にふくろうなどの猛禽類はエサで釣って調教するという。しかし、実際にふくろうをヒナから愛情をもって育てた佐藤園長は、ふくろうも人間に感情や愛情を表すことがあるのではないかと思っている。

 例えば、名前を呼ばれたらそちらの方を向く。たまたまだと言う人もいる。自分の名前を覚えているのではなく、音を覚えているのかもしれない。名前が呼ばれるとエサを連想するのかもしれない。だが、反応はしているという。

 また、自分を育てた人間からはエサを食べるけれど、他の人がエサをやっても食べないということも。人間の顔を覚え、自分がヒナから育てられたことも理解しているのではないか、と園長は思っている。

 そして、1日中一緒にいると、感情を表情や態度で見せるようになるという。園長はふくろうの表情から、機嫌の良し悪しだけではなく、「いたずらしようとしている」「遊んでほしい」などさまざまな感情を読みとることができる。特に若いふくろうは表情の変化が豊か。カフェのふくろうは若いので、表情に変化があるという。中でもカラフトフクロウは特に人なつっこく、スタッフの肩の上にのったり、後ろをついてきたりするそうだ。

 ふくろうの遊びはくちばしや足を使う。ロールペーパーを足で押えながら少しずつちぎったり、ナイロン製の袋などカサカサ音がなるものを足でつかんでくちばしで取ろうとしたり、大型のふくろうの場合は、ロープで作った犬用のおもちゃを足でつかんで遊ぶそうだ。「動くものが好きなんですよ。たぶんエサをとる練習なのだと思います」と園長は推測する。

●ふくろうを同じ部屋にたくさん置く意外な理由

 壁を背に一列に並ぶふくろうたち。ひとつの空間にさまざまな種類のふくろうが一堂に集まること、それは自然界にはないと思われる。しかし、ふくろうを同じ部屋に何羽も居させているのには、ちゃんとした理由があると佐藤園長は語る。「ふくろうは1羽だけにしておくと、神経質になり、縄張り意識が強くなりすぎてしまうんです。人間や他のふくろうと同じ部屋に置いてやる。近くのふくろうが人間と仲良くしている様子を見せて、『自分も大丈夫だ』と安心感を与える。そうすると性格が丸くなります」

 しかし、ふくろうを同じ空間にするにも、工夫や配慮は必要だ。隣にするのはケンカにならないふくろう同士にしているという。ふくろう同士を一緒に置いてみて、相性を確認する。くちばしでつつき合うくらいなら仲が良いので隣にしても大丈夫だが、どちらかが足でつかみかかろうとする場合は相性が悪いので離さなければならない。別々の種類でも仲がいいふくろうもいれば、同じ種類でも仲が悪いふくろうもいるという。

 もちろん、種類による性質にも気を配る。メンフクロウは同じ種類同士で仲良くなることが多く、別の種類のふくろうと一緒にすると嫌がるので、カフェのメンフクロウ「タンタン」と「メンメン」は2羽だけ他のふくろうから離している。また、小型のふくろうは大型のふくろうを怖がりストレスを感じてしまうため、距離を置いているようだ。「お客様に触っていただくときも、ふくろうを手に持ったまま歩きまわらず、座っていただくように注意しています」(園長)。小型のふくろうは大型のふくろうに近付くとパニックになるので、注意を払っているとのこと。

 「ふくろうカフェならまち」には、ふくろう以外の猛禽類ハリスホーク、チョウゲンボウも展示されている。その理由について園長は、敷地が広いので大型のふくろうと小型のふくろうを分けてもスペースに余裕があること、いろいろな猛禽類に触れてその魅力を知ってもらいたいからと言う。

 「それとふくろうカフェってふくろうばっかりじゃないですか。家でワシミミズクとハリスホークを飼っていたのですけども、本当に頭のいいタカに触れてもらい、大迫力のフライトも体験して頂きたいと思いました」

●魅力あふれるふくろうと、やさしく触れ合うために

 表情豊かで、人間に対して愛情を示すこともあるふくろうだが、触れ合うときにはどのようなことに気をつければいいだろうか。佐藤園長は「ここのカフェにいるふくろうは人を襲うことはありません」と前置きした上で、ふくろうが人に対する恐怖心から鋭い爪の生えた足で人の腕をつかみ、出血させてしまう恐れもあると語った。

 自分で勝手に判断して触ると、かまれたり、つかまれたりしてケガをする可能性がある。スタッフが受付で触れ合うときの注意点を説明しているのをしっかり聞き、ふくろうの近くの「この子はかみます」など表示などをきちんと読む必要があるとのこと。「見た目はかわいいけどふくろうはワシやタカと同じ、肉食の猛禽類。油断をしてはいけません」

 またふくろうの羽毛は犬や猫の毛よりもずっとデリケートなので、直接触るときは力を入れて触らない、胸から下を触ると嫌がるので触れない、などの注意点も。早くふくろうに触りたいため、受付でのスタッフの説明を聞き逃す人もいるそうだ。

 最後に佐藤園長からふくろうの魅力と、訪れる人へのメッセージを。

 「ふくろうは表情が変わるんで面白いですよ。お客様には『表情の変化や動きがあって、見ていて飽きない』と感想をいただいております。ふくろうのそう言った面白さをここで感じていただければいいな、と思っています」

●ふくろうカフェならまち

奈良県奈良市餅飯殿町30

近鉄「奈良駅」徒歩6分

入園料:1時間ドリンク付1300円(7月7日午後からオープン記念でしばらくは1000円)、小学生以下500円、2歳以下無料

最終更新:8月6日(土)11時33分

ねとらぼ