ここから本文です

747終了は軽微な話? 危ぶまれる「名戦闘機のふる里」 岐路に立つボーイング

乗りものニュース 8/6(土) 11:35配信

747「ジャンボ」生産中止でも、影響は少ないか

 ボーイング社(アメリカ)は2016年7月27日(水)、大型旅客機ボーイング747の生産中止について検討していることを明らかにしました。

【写真】ステルス性向上も 最新のF/A-18「アドバンスドスーパーホーネット」

「ジャンボジェット」の非公式愛称で知られる747型機、知名度が高いだけにいま、その状況へ注目が集まっていますが、ボーイング社に関し気掛かりな点はむしろ、別のところかもしれません。

 747型機は、1970(昭和45)年に運航を開始。2007(平成19)年にエアバスA380が就役するまでの長きにわたり「世界最大の旅客機」として親しまれ、その出荷数は実に1500機を上回ります。

 しかしながら近年は、運航費が安く航続距離も長い中型機の登場により、多くの航空会社は大型機に代わって中型機を導入、直行便や便数を増やすなど利便性を重視した経営を好むようになりました。そして導入リスクが大きく、主要都市間においてしか使えない大型機は敬遠されつつあります。

 2016年3月、ボーイング社は747型機の月産数を1機にまで縮小。そして9月には0.5機にまで減らす予定です。同社は2016年7月12日(火)に、ロシアのヴォルガ・ドニエプルグループから貨物型の747-8Fを20機受注していますが、それでもいま、生産中止が検討されているわけで、今後の受注が低調ならば、遠くない将来にその生産ラインが閉じられるかもれません。

 ただ、747型機の組み立てを行うシアトル郊外のエバレット工場(ワシントン州)では、燃費が良く比較的好調なセールスを続ける787型機「ドリームライナー」などの生産ラインも存在。仮に747型機が生産中止になっても、ボーイング社の民間機部門にとってそれほどの影響はないでしょう。

 むしろ心配されるのは、セントルイス工場(ミズーリ州)です。

「ファントム」「イーグル」も誕生 いま、岐路に立つ「名戦闘機のふる里」

 ボーイング社のセントルイス工場は、同社軍事部門の一大生産拠点です。1997(平成9)年にボーイング社が吸収合併したマクダネル・ダグラス社がかつて本拠を置いた場所であり、航空自衛隊も導入したF-4「ファントムII」やF-15「イーグル」を生むなど、アメリカ製戦闘機の生まれ故郷でもありました。

 ところが近年、ボーイング社はアメリカの主導で進められた新型機計画「統合打撃戦闘機計画(JSF)」において、ロッキード・マーチン社のX-35(現在のF-35)に敗北。また、航空自衛隊の次期主力戦闘機選定ではF/A-18E/F「スーパーホーネット」を売り込むも、F-35に負け実現ならず。同様に、韓国空軍の次期主力戦闘機選定でも、F-15SE「サイレントイーグル」がF-35に負けて脱落するなど、立て続けに大口の受注を逃す結果になってしまいました。

 ボーイング社がこのままそれらの新規受注を得られなかった場合、F/A-18E/Fはアメリカ海軍向けの引き渡しが完了する2018年に、またF-15はサウジアラビア空軍向けの「アドバンスドイーグル」が2019年に生産を終了。名戦闘機を生み出してきたセントルイス工場で、その「仕事」が無くなってしまう恐れがあります。

 一方、カタールがF-15(36機)、クウェートがF/A-18E/F(24機)を導入する計画が存在し、アメリカ政府の承認待ちであるという報道もあることから、今後、さらに生産数を伸ばす可能性も十分に考えられます。ただいずれにせよ、厳しい現状はこの先も続く見込みです。

1/2ページ

最終更新:8/8(月) 10:01

乗りものニュース